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「スラリーショットシステム」の乾式吹付け工法へ初適用、粉じん・品質変動などを低減(2008年3月10日)

乾式吹付けコンクリート工法の課題である粉じん、品質変動などを低減
―飛騨トンネル避難坑工事にてスラリーショットシステムを乾式吹付け工法に初適用―

 環境保全と建設の共生を目指す飛島建設(社長:池原年昭)は、飛騨トンネル避難坑工事において「スラリーショットシステム」を乾式吹付け工法に初めて適用し、その有用性を確認しました。

スラリーショットシステム

 「スラリーショットシステム」は、トンネル工事における吹付け作業環境の確保(吹付け作業時の発生粉じんの低減)を目的とした湿式吹付けコンクリート工法として開発され、飛島建設では、これまでに第二東名高速道路静岡第六トンネルや、遠野第二生活貯水池洪水吐トンネル築造工事など12現場に適用しています。スラリーショットシステムは、カルシウムアルミネート系、またはカルシウムサルフォアルミネート系の粉体急結剤にノズルの手前で連続的に水を添加してスラリー化し、スラリー急結剤とすることを特徴としたシステムです。本システムは、粉じんの発生の低減による作業環境の改善のみならず、はね返りの低減、吹付けコンクリートの均質化を実現させる吹付け工法です。

乾式吹付け工法への初適用

 7月に開通予定である東海北陸自動車道飛騨トンネルは、全長10.7kmの国内有数の長大トンネルです。その避難坑の二次覆工は、掘削径4.5~7.2m(TBM区間4.5m、NATM区間5.0~7.2m)の全線10.7kmを施工するため、品質確保および作業効率の向上が図れる吹付け工法を選定しました。白川側と河合側では、表-1に示すように、その施工延長、材料運搬方法、吹付け対象、作業環境等の施工条件が異なるため、それぞれの施工条件を考慮し適切な工法を選定しました。
白川側は、輸送距離が長いためフレッシュコンクリートの品質変化が懸念されたことや、二次覆工施工時にはインバートブロックが設置されているため残コンクリートの処理が困難であることなどの事由などから、これらの条件下では利点の多い乾式吹付け方式を選定しました。しかし、乾式吹付け方式は、一般的に湿式吹付け方式と比較して発生粉じん量が多いと言われ、加えて、河合側の吹付けや設備工事などに対して坑道換気の上流側での施工となることから、発生粉じんの抑制が必須と判断し、スラリーショットシステムを乾式吹付け工法に初めて適用しました。
今回、スラリーショットシステムを乾式吹付け工法に適用することにより、湿式吹付け工法で実績があり、その効果が確認されている、粉じん低減効果、品質の均質性確保を図りました。また、乾式吹付け工法の場合、吹付け作業員の技量に起因する品質変動が課題ですが、「輝度計測式ドライミクストコンクリート含水量測定システム」を実用化し、吹付け作業付近で連続的にドライミクストコンクリートの含水量測定を行い、瞬時にノズル近傍で添加すべき最適水量をモニターに表示し、モニターの数値に基づき水量を調整することで、品質変動の低減を図りました。

表-1)白川側、河合側における二次覆工の施工条件
施工場所 最大運搬延長 運搬方法 最大練り置き時間 一次覆工 作業環境
白川側 約8km レール工法 2時間超 鋼製ライナーが多い 坑道換気の上流側で施工
河合側 約4km タイヤ工法 1時間以内 吹付けコンクリート 坑道換気の下流側で施工

吹付けコンクリート工法の現状

 山岳トンネル工事では、1960年代にNATMとともに吹付けコンクリート工法が導入されました。導入当初10年程度は乾式吹付け工法が主流でしたが、現在では、乾式吹付け工法の有する以下の課題等により90%以上が湿式吹付け工法となっています。

  1. 吹付け作業員がドライミクストコンクリートの状況や吹き付けたコンクリートの状態を見て、経験に基づいてノズル近傍で添加する水量の調整を行うことから、吹付け作業員の能力による品質変動が大きい。
  2. 湿式吹付け工法と比較して量的施工能力が劣る。(大断面では湿式吹付け工法が有利)
  3. 粉じん、はね返りが多い。

乾式吹付け工法は、前述の短所を有する反面、以下の利点もあります。

  1. 初期強度の発現が良好である。
  2. 長距離圧送が可能である。
  3. 湿式吹付け工法と比較して、練置き時間が2時間程度と2倍近く確保できる。
  4. 機械・ホースの清掃が容易であり洗浄水を必要としない。

 現在、乾式吹付け工法の利点を活用できる中小断面・長距離掘削トンネルが増えつつあり、前述した乾式吹付け工法の課題である粉じん、はね返り、水添加方法の改善、粉じん低減剤や液体急結剤の使用などの改良が重ねてられています。このような中、飛騨トンネル避難坑工事において、乾式吹付け工法にスラリーショットシステムを初めて適用し、また、「輝度計測式ドライミクストコンクリート含水量測定システム」を用いることで、乾式吹付け工法の利点を活かしつつ、粉じん、はね返りを低減し、かつ品質変動を小さく抑えた施工を実現しました。

スラリーショットシステムの実施工適用例

工事件名:東海北陸自動車道 飛騨トンネル避難坑その4工事
発注者:中日本高速道路株式会社
施工者:飛島建設(株)・鉄建建設(株)共同企業体
工期:平成17年10月12日~平成19年10月1日
吹付けコンクリート施工数:白川側(乾式)7,200m3 河合側(湿式)5,200m3 合計12,400m3

吹付けコンクリートの品質管理結果

 表-2に示すように、高強度繊維補強吹付けコンクリートの初期強度、長期強度および曲げじん性係数は、表-3に示す要求品質を満足する結果でした。
 また、圧縮強度の変動係数は、白川側(乾式吹付け方式)が10.5%、河合側(湿式吹付け方式)が8.2%でした。良好な管理がなされているレディーミクストコンクリート工場の変動係数は10%程度以下と言われ、骨材の管理や、輝度計測式ドライミクストコンクリート含水量測定システムを用いた表面水率の補正などを適切に行うことにより、品質変動を抑え、レディーミクストコンクリート工場と同等の品質管理を実現しました。

表-2)高強度繊維補強吹付けコンクリートの品質管理結果
項目 定圧縮強度 σ1(N/mm2) 圧縮強度 σ28 (N/mm2) 曲げじん性係数σ28(kN)
白川側 河合側 白川側 河合側 白川側 河合側




管理強度 10 36 4.67
データ数 209 51 75 27 67 24
最大値 209 37.0 58.1 56.2 10.6 10.8
最小値 10.3 18.5 36.2 42.4 4.72 5.05
平均値 19.0 27.8 42.1 49.0 7.09 7.35
標準偏差 4.86 3.94 4.43 4.00 1.50 1.94
変動係数 25.6 14.2 10.5 8.2 21.1 26.4

表-3)高強度繊維補強吹付けコンクリートの要求品質
吹付けコンクリートの品質 要求品質
材齢 1日における
平均圧縮強度
10N/mm2
材齢28日における
圧縮強度
36N/mm2
材齢28日における
曲げじん性強度
  1. X1~X4のすべての曲げじん性曲線が設計基準線を下回らないこと
  2. X1~X4の曲げじん性曲線の平均値が品質管理曲げじん性係数(1.4N/mm2)を下回らないこと

現場写真

(1)吹付けコンクリートの施工状況

乾式スラリーショットシステムによる鋼製セグメント区間での吹付け状況(吹付け対象が目視できるほどのクリーンな作業環境を確保がされた)

(2)吹付けコンクリートによる覆工完了状況

(3)ドライミクストコンクリートの含水量測定システム

ベルトコンベア上のホッパ台車に輝度計を設置

(4)含水量の表示状況(表面水量の表示も可)

輝度計の測定データをパソコンにて処理し、ベルトコンベア上のドライミクストコンクリートの含水量を表示

ニュースリリースに関するお問合せ先

広報部 小島 秀二郎 TEL.03-5214-8212

技術・資料に関するお問合せ先

技術研究所 第三研究室 平間 昭信 TEL.04-7198-7559

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