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木材による地中カーボンストックに関する実験公開(2008年3月24日)

-木材の地中打設による軟弱地盤対策と二酸化炭素の長期安定貯蔵による温室効果ガス削減-

 環境保全と建設の共生を目指す飛島建設株式会社(社長:池原年昭)は、地球温暖化防止対策のひとつとして、木材を地中打設する軟弱地盤対策の開発を行っています。これは、樹木が大気中の二酸化炭素を吸収固定することに着目し、木材を地中に打設することにより、二酸化炭素を地中貯蔵し温室効果ガス削減に貢献するものです。3年前に研究に着手し、一定の方向性を見いだすに至り、昨年から本格的な研究開発を行っています。
 伐採した木材を長期間保存すれば、有効に二酸化炭素を貯蔵(カーボンストック)することができます。植林と伐採・保存を繰り返すことで木材利用の拡大と二酸化炭素の大量貯蔵が行えます。木材を用いて軟弱地盤対策を実施した場合、工事によって排出される二酸化炭素排出量をこのカーボンストック量が大幅に上回り、工事を行えば行うほど温室効果ガス削減につながることを試算で確認しています。現在、木材の地中打設による二酸化炭素貯蔵の有効性の確認と、地下水位よりも浅い部分の腐朽対策の検討に関する実験を実施しており、今回これを公開いたしました。

技術の特徴、優位性

 飛島建設は、木材の貯蔵先として、地中を考えています(地中カーボンストック)。木材を地中に打設した場合、腐朽が課題となります。地下水位以深では、木材は長期間健全であることを調査で確認していますが、一般に杭頭部が地下水位変動域やそれ以浅に位置する場合があり、腐朽が心配な場合には薬品処理します。弊社では、地下水汚染などの原因となる可能性がある薬品を使うことなく、地中の特性を活かした処理方法について研究を始めており、現在、この検証実験中です。
 さらに、木材を用いて軟弱地盤対策を実施した場合、工事によって排出される二酸化炭素排出量をこのカーボンストック量が大幅に上回り、工事を行えば行うほど温室効果ガスが削減できることを試算で確認しています。今後は、この検証も行う予定です。木材の利用による軟弱地盤対策が、土木事業としての役割を担うだけではなく環境貢献をも担うことが可能となります。
 このような木材の利用拡大が図られれば、二酸化炭素の大量貯蔵が可能になるとともに、森林の水源涵養、土砂流出災害の防止などの効果が得られることも期待されます。

背景

 地球温暖化は、今世紀前半の大きな課題であり、あらゆる分野でこれに対する解決策を検討する必要があると考えています。京都議定書で、日本は1990年比6%の温室効果ガス削減を国際的に約束し、今年から約束期間が始まっています。このうち3.8%は、森林吸収で賄うとされており、森林吸収による3.8%は、「森林経営」された森林が対象となっています。「森林経営」には木材の利用が必要不可欠で、林野庁の発表した「森林・林業基本計画(2006年9月)」には2004年で1700万m3である木材供給・利用量を2015年には2300万m3に促進する計画となっており、国産木材の新たな利用先を模索している段階です。

 温室効果ガス削減技術として、一般には排出源から温室効果ガスを回収・隔離し、変換・有効利用する方法が検討されています。樹木は、これとは異なります。樹木は大気中の二酸化炭素を吸収固定するので、成長した樹木を伐採し燃やしても、大気中の二酸化炭素は増加することにはなりません。放出した二酸化炭素はもともと大気中から吸収固定したものだからです。これをカーボンニュートラルといいます。さらに伐採した木材を長期間保存すれば、炭素貯蔵(カーボンストック)となり、大気中の二酸化炭素削減に寄与することとなります。このように植林と伐採・保存を繰り返すことで木材利用の拡大と二酸化炭素の大量貯蔵を行うことができます。
 飛島建設では、木材を地中に打設し軟弱地盤対策とすることで建設工事に適用するとともに、カーボンストックを同時に行い、ひいては、木材利用の拡大につなげられると考えています。

三郷市大場川中橋地点 橋脚基礎
水位GL+1~+2m付近
砂層 スギ属,最低35年間以上

研究開発の経緯

 地球温暖化への対処という社会的な要請に応えるべく、飛島建設は、CO2削減策のひとつとして、木材を大量かつ長期間利用する方法について研究に取り組みました。利用先として地中の地下水位以深が有効と捉え、主に軟弱地盤対策に絞り込みました。木材は、燃焼する、腐朽や虫害がある、加工工程が増えるとコスト高になる、また、乾燥すると変形するなどの欠点を持ちますが、丸太杭として地中の地下水位以深に打設すればこれらの欠点が解消されます。さらに地中の地下水位以深であれば腐朽が生じないため長期のカーボンストックが可能になります。
 これを検証する目的で、文献調査や各地で構造物基礎などに使われていた木材の収集・分析を行いました。この結果、地下水位変動域以深において、スギを含めた木材の健全性は50年を優に越えることが明らかになりました。
 この調査の一部は、2年間の福井県との産学官共同研究「脱地球温暖化社会へ向けた建設工事への木材利用に関する調査・研究」(産:飛島建設、学:福井高専、官:福井県)にまとめられており、近く報告書が関係機関に配布される予定です。
 これらの調査結果を踏まえ、現在、木材の地中打設による二酸化炭素貯蔵の有効性の確認と地下水位よりも浅い部分の腐朽対策の検討に関する実験を実施しています。

今後の展開

今後適用範囲を拡大し、液状化対策やさらに広範囲の軟弱地盤対策を狙った開発を進めていく予定です。

参考資料(下記リンクより、PDFをご覧いただけます)

ニュースリリースに関するお問合せ先

広報部 小島 秀二郎 TEL.03-5214-8212

技術・資料に関するお問合せ先

技術研究所 第二研究室 沼田淳紀 TEL. 04-7198-7553

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