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デジタル画像処理技術による「岩盤面描画支援システム」を開発(2009年7月7日)

デジタル画像処理技術による「岩盤面描画支援システム」を開発
-掘削面の岩盤スケッチ作業を省力化、視覚的に把握しやすい記録作成、記録管理を容易に-

 飛島建設株式会社(社長:篠部正博)は、建設工事の基礎掘削等の後に露出する岩盤・地表面の地層形状、傾斜、地質、湧水などを記録する岩盤スケッチにかかる時間や手間を大幅に軽減し、より正確な描写を可能にする「岩盤面描画支援システム」を開発いたしました。
 この技術は、これまで開発・実用化した精密写真測量システムやトンネル施工情報管理システム、斜面挙動やトンネル変位計測などの施工管理支援技術や防災技術に当社保有のデジタル画像処理技術を応用しています。
 「岩盤面描画支援システム」は、従来、地質技術者が現地を測量しながら紙面上に描画していたものをデジタル写真をPCに尺度を持たせて取り込み、PC画像上でメモなどを記述する仕組みで、大がかりな準備作業の軽減や作業の容易性を向上します。
 PC上で描くスケッチそのものが電子媒体であり、そのまま必要に応じたさまざまな加工ができ、視覚的に把握しやすい管理記録として残すことができます。このように、「岩盤面描画支援システム」を用いて蓄積したデータは、施工した構造物の品質に対する信頼性をお客様に示す際に役立てることができるもので、本システムを技術提案などに積極的に活用していく所存です。


地質スケッチ(尺度を持たせた写真画像に描写)

岩盤スケッチ状況(スケッチ画面のクローズアップ)

岩盤面描画支援システム概要

 建設工事での基礎掘削後に、地山に露出する地層や岩盤のスケッチ記録は、後工程である構造物の設計や施工を進める上で重要な調査資料となります。また、この資料をデータベース化することにより、近隣のプロジェクト計画などの貴重な地質情報になります。
 従来の岩盤スケッチは、スケッチ対象の位置を把握するため、ロープなどで一定間隔の格子を設置した岩盤面に対し、地質技術者が格子からの距離を手作業で計測し、亀裂や層境などの位置を定めながら、形状や数値などを紙面上にメモし、それをCADで清書し、保存する方法で実施してきました。
 そのため、準備作業に多くの時間を必要とし、後工程に支障を与えるという課題や、手書きで作成したデータが、電子化された他のデータと比べ、保管しにくく扱いにくいという課題がありました。
 当システムでは、画像と実物を確認しながらスケッチ作業を実施できるため、調査漏れの有無を容易に確認できます。また、岩盤情報はスケッチ時に直接データ化されるため、作業時間も短縮され、転記作業に生じるミスも排除できます。更に、得られたスケッチは電子データであるため地質や岩級などの分布図や、湧水や亀裂のある個所の分布図など、切り口を変えた図の作成が可能です。

【参考】岩盤面描画支援システムと従来の作業手順比較

 
岩盤面描画支援システム
従来

I







(基準の設置)
岩盤面に実物の長さを示すスタッフや巻き尺などを設置する。画像処理を行うので、横幅と両端の高さの3つの長さがわかるものを設置するだけですむ。スケッチする技術者のみで作業可能。


(基準の設置)
岩盤面を測量し、ロープやペイントなどでスケッチ用の格子を標す。手書きのスケッチの位置を特定するため、大がかりな準備が必要であり、複数名での作業が必要となる。


II







1)デジタル写真撮影~PC取り込み
スケッチを実施する範囲をデジタルカメラで撮影し、画像をPCに取り込む。

2)画像処理(オルソ処理) 正射投影画像を作成する。

3)スケッチの実施、スケッチ図の完成
現地で画像上にスケッチを実施する。寸法の計測は画像上でマウスを動作させることで容易に実施できる。スケッチ作業を行うことで、そのまま全体のスケッチ図が電子データとして出来上がる。 


1)長さの測量
格子から特徴(例:層境)までの長さをスケールや巻き尺などで測量し、位置を確認する。測量にはかなりの手間を要する。

2)スケッチの実施
現地で紙面上にスケッチを実施する。
格子を目安に調査範囲全体の情報を記録する。

3)地質図のスケッチの完成
手書きのスケッチ図が出来上がる。



III





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1)スケッチのPCへの取り込み
事務所で、描かれた図はデジタルデータなので、そのまま簡単にPCに取り込める。
2) 加工、アウトプット、保存
CADで容易に加工することができ、画像と対応づけた分布図が作成される。画像と比較することで確認作業が容易である。

1)スケッチのPCへの取り込み
事務所で、作成されたスケッチをスキャナで取り込んだ上CADでスケッチ画像を再度なぞって整理するなど、加工には多大な労力を要する。
2)加工、アウトプット、保存
分布図が作成される。比較できる画像は存在しない。


岩盤面描画支援システムの特徴

<スケッチデータの活用範囲の拡大>
◎スケッチしたデータが直接電子データとなるので、今まで別処理で電子化するなどの処理をしていた後処理の作業が大幅に軽減できます。
◎作成されたスケッチは、地質や岩級などの区分を示す分布図や、湧水や亀裂のみを示す分布図の作成など、さまざまな用途に利用できます。
◎スケッチや地質技術者のコメント記録を画像上に描画するため、基礎岩盤面など建設当時の施工品質を示すことができ、視覚的に把握しやすい管理記録として残すことができます。

<スケッチの準備作業の軽減>
◎デジタルカメラで実物の長さを示す箱尺や巻き尺をスケッチ対象と同時に写し、尺度をもった画像に加工するので、スケッチ対象範囲の測量など準備作業が大幅に省力化されます。その上、画像上で寸法の計測をマウスやタッチペンなどで簡単に実施することができます。

<スケッチ作業の大幅な改善、精度の向上>
◎取り込んだ写真画像で岩盤やスケッチ対象範囲全体を見ることができるので、描画を進めている箇所の位置を確認することが容易になります。そのため、岩盤から離れてみたり近接したりといった移動する労力が軽減され、スケッチ作業の効率が上がります。また、画像を確認しながらスケッチを進めるので記述漏れや、位置の大幅なズレなどが少なくなります。

今後の展開

 「岩盤面描画支援システム」を、構造物の品質に対する信頼性を示すツールとして利用し、設計・施工へフィードバックさせる基礎資料の蓄積に用いるだけでなく、施工時における岩盤面の状況の視覚的に把握しやすい画像記録の作成など、幅広く活用していきます。
また、当システムを施工時の品質管理方法の一つとして総合評価入札方式などの技術提案に活用していきます。

技術・資料に関するお問合せ先

飛島建設株式会社 技術研究所 第一研究室 松元、阿保 TEL: 04-7198-7572

ニュースリリースに関するお問合せ先

社長室経営企画部広報G 担当:小島 TEL.03-5214-8212

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