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ICタグによるコンクリート施工情報管理システムを開発(2011年8月11日)

建設現場の環境条件に適応し、トレーサビリティ確保を可能とする、
ICタグによるコンクリート施工情報管理システムを開発
― 施工時から施工後の維持管理に至るまでの情報を一元管理 ―

 飛島建設株式会社(社長:伊藤寛治)は、建設現場特有の環境条件に適応し、施工時から施工後の維持管理に至るまでの情報を一元管理することで、コンクリート構造物のトレーサビリティを確保する「ICタグ*1)によるコンクリート施工情報管理システム」を開発しました。
 各種のICタグの特性を評価することで、建設現場特有の環境条件に適応したRFID*2)(ICタグやデータベースなど)を選定できるようにし、最適なシステムの構築が可能となりました。また、これまで主に施工時に利用されてきたICタグとその情報を、施工後も継続して管理者が利用できるようにすることで、コンクリート構造物のトレーサビリティを確保し、維持管理に活用できるようにしました。当社がこれまで開発してきた施工時のコンクリート品質管理システムと連携させ、施工時から施工後の維持管理に至るまで一元的な情報の管理ができる、施工から維持管理までを包含したシステムとしました。
 今後、本システムを積極的に建設現場へ展開し、施工時の品質確保・向上を図るとともに、コンクリート構造物さらには建設構造物全般の維持管理に貢献したいと考えています。

開発したICタグによるコンクリート施工情報管理システム

1.建設現場特有の環境条件に最適なシステム構築(図1)
 建設現場で情報通信技術を使用する場合、重機や建設資材など金属が多く存在すること、地下水や降雨など多くの水分が存在すること、現地の地形や構造物の形状によってはICタグとアンテナが通信に良好な方向や距離に存在できないこと、などの特有の条件(ここではこれらを建設現場特有の環境条件と呼びます)を克服することが必要になります。
各種のICタグの特性を評価することで、金属の有無、水の有無、ICタグとアンテナとの角度や認識距離などのパラメータごとに、環境条件に適応したICタグ(HF帯*3)やUHF帯*4))とアンテナ配置・形状・種類などを選定できるようになりました。これによって施工時、施工後ともに建設現場特有の環境条件に最適なシステムの構築が可能となりました。

2. ICタグ情報連携による一元管理【施工時から施工後の維持管理まで】(図2)
 当社ではすでに、従来個別に管理されてきたコンクリート構造物施工時の各種情報を、ICタグを活用して施工時に一元管理するコンクリート品質管理システム*5)*6)を開発しています。今回あらたに、これらの施工情報を自動的に引き継ぎ、施工後の維持管理情報と併せて管理する「ICタグによるコンクリート施工情報管理システム」を開発しました。施工時および施工後の情報を連結し、RFIDによって一元管理することでトレーサビリティを確保し、維持管理に活用することができます。点検時には、情報端末を用いて、その場で情報を確認し、必要な情報はRFIDに追記することができます。施工・品質情報を保存したICタグを現場に設置することで、現地で構造物に関する情報を確認、追記するなどインターネットなどの使えない通信環境の悪い地点でも力を発揮します。
 社会資本は都市圏だけでなくトンネルや橋梁など山間部に存在するものが多く、社会資本の統一した維持管理に、通信環境に左右されずに利用できるこの技術の適用が大いに期待されます。


図1 建設現場特有の環境条件(金属,水,コンクリートなど)への適応

図2 通信環境に左右されないICタグによるコンクリート施工情報管理システム

開発の背景

 製品の生産管理や流通過程のトレーサビリティ確保のため、食品産業や流通産業を中心に、ICタグの導入が進められ、その有効性が認められてきています。社会資本整備を推進する建設分野では、建設構造物の品質を確保することが求められていますが、ICタグを活用することで、コンクリートの品質管理や検査などの合理化・省力化さらにトレーサビリティの高度化に寄与することが可能と考えられます。
 これまで建設現場では、施工・品質情報を紙や電子媒体で個別(ばらばらの)管理をしていたため、施工後の維持管理の段階になって、情報収集に大きな労力がかかったり、情報欠損があったりという問題が発生し、情報の一元管理を要望する声が高まっています。近年、ICタグを用いるRFIDなどの情報通信技術を利用し、一元化して品質を管理する取り組みが広がってきており、建設業においてもICタグによる施工時の品質管理システムが各機関で開発されています。しかしながら、施工時と施工後の情報が連結された管理がなされておらず、構造物を維持管理する上では不便なものとなっていました。また、特に屋外の建設現場においてICタグを積極的に活用するためには、金属や水分が多く存在するという建設現場特有の環境条件がICタグの弱点である場合が多く、そのような環境条件への対応が求められてきました。

建設現場特有の環境条件への適応

 建設現場特有の環境条件に対し、最適なICタグを選定できるよう、各種のICタグの特性を実験により 把握・評価しました。ここではその一例を示します。
 図3に、建設現場の環境下でのICタグの認証実験の様子と、使用したICタグの一例を示します。図4に、実験により得られた、UHF帯(超短波帯)RFIDを用いた場合の、ICタグの種類と貼り付け材料の組み合わせごとの認識距離を示します。ICタグは7種類を選定していますが、ICタグを貼り付けた材料によってその認識距離が大きく変化します。室内の良好な環境条件下(プラスチックへの貼り付け)では、①~④の一般的なICタグは3m~9mという長距離での認識が可能ですが、金属や水(ペットボトル)の影響があると0m~2mと認識距離が大きく低下します。⑤~⑦の金属対応タグとよばれるものの場合でも、その性能は違います。金属、水の両方の影響を受ける場合には、⑦のようなICタグを選択する必要があります。
このような、多くの室内実験および現場実験を実施することで、建設現場特有の環境条件に最適なICタグ(HF帯やUHF帯)、アンテナ配置・形状・種類などを選定できるようになりました。

 
図3 建設現場の環境下でのICタグの認証実験の様子と,使用したICタグの一例
 
図4 ICタグの種類・貼り付け材料の組み合わせごとの認識距離(UHF帯のRFID)

今後の展開

 今後、本システムを積極的に建設現場へ展開し、施工時の品質確保・向上を図るとともに、コンクリート構造物さらには建設構造物全般の維持管理に貢献したいと考えています。

※注)本システムの名称は「ICタグによるコンクリート施工情報管理システム」としています。RFIDという言葉の認知度が低いため、あえてICタグという表記を使っています。本来の意味ではRFIDが正確な表現です。

参考資料

*1)ICタグ
物体の識別に利用される微小な無線ICチップであり、自身の識別コードなどの情報が記録されており、電波を使って管理システムと情報を送受信する能力をもつものです。

*2)RFID(Radio Frequency Identification)
ID情報を埋め込んだタグから近距離の無線通信によって情報のやりとりをする技術で、ICタグ(カード)、リーダライタ、アンテナ、データベース、アプリケーションから構成されるものです。代表的なものとしてSuica、PASMO、ICOCAなどがあります。

*3)HF帯
電磁誘導方式の代表的なもので、水の影響を受けにくいが、通信距離が短いという特徴があります。 小型化、低価格化が進み、最も汎用性が高いものです。

*3)HF帯
電磁誘導方式の代表的なもので、水の影響を受けにくいが、通信距離が短いという特徴があります。 小型化、低価格化が進み、最も汎用性が高いものです。

*4)UHF帯
電波方式の代表的なもので、誘電体や水の影響を受けやすいが、他の方式に比べて通信距離が長く、指向性が高いという特徴があります。

*5)ICタグによるトラックミキサー運行管理システム
ICタグによる施工情報の管理方法の一つとして、トラックミキサー運行管理にICタグを適用するシステムです(図A)。コンクリートの練り混ぜ時間、打設時間や打設完了時間などをICタグで管理し、運搬時間、使用時間や打設量などの施工情報を管理用パソコンとデータベースによって運用します。確実なトラックミキサー運行管理によって、コンクリートの品質を確保するシステムです。

図A トラックミキサー運行管理システム全体イメージ図

*6)ICTコンクリート打設管理システム
当社の現場で適用を進めているICTコンクリート打設管理システム(2009年12月リリース済み)の課題であった、“管理者による携帯端末からの入力に関わる労力”を大幅に低減するため、ICタグを活用し、システムの高度化を図ったものです(図B、図C)。コンクリートの品質をリアルタイムに管理しつつ、施工・品質情報がICタグとデータベースに確実に保存されることから、コンクリート構造物のトレーサビリティを確保することができます。

図B 携帯電話によるICTコンクリート打設管理システム全体イメージ図
図C ICタグにより情報入力の大幅な省力化実現

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