HOME » プレスリリース » トンネル坑内の安全性を飛躍的に高める「建設機械接近警告システム」を開発

トンネル坑内の安全性を飛躍的に高める「建設機械接近警告システム」を開発(2013年5月30日)

トンネル坑内の安全性を飛躍的に高める「建設機械接近警告システム」を開発
-ICT活用により入坑者と建設機械の位置を“見える化”し接触災害を防止-

 飛島建設株式会社(社長:伊藤寛治)は、トンネル建設工事における、入坑者と建設機械との接触災害の防止を目的に建設機械接近警告システム(図-1)を開発しました。本システムでは、ICT機器による無線通信電波を利用した坑内測位機能により、トンネル坑内全体にわたり入坑者および建設機械の位置を把握します。さらに、位置情報に基づき建設機械の運行を管理し、接近警告機能により建設機械の接近を入坑者へ自動的に警告できます。その際、“なにが(どの建設機械が)”、“どこにいて(残りの距離)”、“どちらから(接近方向)”という危険回避に最も重要な情報を入坑者へ提供します。

 建設機械の接近に対しては、これまで入坑者の目視による確認や建設機械オペレータの警笛実施による注意に留まっていましたが、本システムでは、入坑者や建設機械の位置の俯瞰的な確認、および、入坑者への自動的な警告と接近する建設機械の情報の伝達が可能で、トンネル坑内の安全性を飛躍的に高めることができます。

 今後、トンネル建設工事における坑内作業の安全性向上のために、積極的に現場へ展開していきます 。

図-1 開発した建設機械接近警告システム

開発の背景

 近年建設工事の災害発生数は減少傾向にあるものの、依然として発生しています。特に、トンネル建設工事においては狭隘な範囲に建設機械が輻輳するため、建設機械の運行を管理し入坑者との接触災害を防止する技術が望まれています。

 しかしながら、トンネル坑内全体にわたり、入坑者や建設機械の位置を把握する技術が確立されておらず、建設機械の運行を管理することが困難でした。そのため、坑内を運行する建設機械と入坑者との接触災害の防止対策としては、入坑者の目視確認や建設機械オペレータの警笛実施による注意に留まっていました。

 そこで当社は、無線通信電波を利用した坑内測位技術と、その測位結果に基づく警告機器制御技術により、トンネル坑内全体にわたり入坑者および建設機械の位置を俯瞰的に把握し、建設機械の接近を入坑者へ自動的に警告する、建設機械接近警告システムを開発しました。従来の安全管理に本システムを加えることで、トンネル坑内の安全性を飛躍的に高めることができます。

システム概要

 開発したシステムは、入坑者および建設機械の位置をリアルタイムに測位するICT機器による無線通信電波を利用した坑内測位機能、および、入坑者と建設機械の位置情報を管理し、自動的に建設機械の接近を警告する②位置情報に基づく建設機械接近警告機能、により構成されています。

①ICT機器による無線通信電波を利用した坑内測位機能(図-2)
本測位機能では、ICT機器である無線通信基地局(無線LANアクセスポイント)と無線通信端末(無線LAN端末:スマートフォンなど)との通信電波を利用します。 本測位機能の流れを以下に示します。
(1)測位対象である入坑者および建設機械に配備した無線通信端末の通信電波強度を無線通信基地局で取得
(2)通信電波強度からそれぞれの無線通信基地局と無線通信端末との距離を推定
(3)推定距離と無線通信基地局の座標から三角測量の原理で無線通信端末位置を特定
本測位機能により、これまで困難であった、トンネル坑内全体にわたる、“だれが(なにが)”、“どこにいるか”の把握を実現しています。


図-2 ICT機器による無線通信電波を利用した坑内測位機能の概要
②位置情報に基づく建設機械接近警告機能(図-3)
 本警告機能では、前記の測位機能で得られた位置情報に基づき接近警告を行います。本警告機能の流れを以下に示します。
(1)無線通信端末へ位置情報を無線通信ネットワークを介して配信
(2)位置情報に基づき接近する建設機械の情報を警告機器へ送信
(3)警告機器による警告(警告音の発報と警告灯の点灯・点滅)および接近する建設機械の情報
 (建設機械名、残りの距離、接近方向)の表示
 本機能により、入坑者や建設機械の位置の俯瞰的な確認、および、入坑者への自動的な警告と危険回避に最も重要な情報の提供が可能です。なお、警告実施の判断は、建設機械と警告機器との距離(100m以内に接近など)で行っており、任意に設定可能です。また、使用する警告機器の台数に制限はありません。


図-3 位置情報に基づく建設機械接近警告機能の概要

現場実証実験

 当社施工中のトンネル建設現場である、一般国道400号下塩原第二トンネル(仮称)本体建設工事(栃木県発注)において、開発したシステムの動作検証を目的とした実験を実施しました。
 開発したシステムは、
・トンネル坑内全体にわたり入坑者および建設機械の位置の測位が可能(図-4)
・入坑者と建設機械の位置情報を無線通信端末画面上で俯瞰的に確認可能(図-5)
・警告音の発報と警告灯の点灯・点滅、ならびに接近する建設機械の情報の表示が可能(図-6)
 であり、実際のトンネル坑内環境においても有効に動作することを実証しました。

図-4 トンネル坑内のどこでも測位が可能
図-5 スマートフォンにより入坑者と建設機械の位置をひと目で確認
図-6 建設機械の接近時に危険回避に有用な情報を表示し警告
(なにが、どこにいて、どちらから)

今後の展開

 今後、トンネル建設工事における坑内作業の安全性向上を目的に、積極的に現場へ展開していきます。また、本システムの主要な機能である坑内測位機能は、無線通信端末の位置情報が得られる魅力的な技術です。ビル内におけるセキュリティを目的とした入退室管理や、災害発生時の要救助者位置の把握など、様々なシーンでの活用が期待できることから、他分野への応用も図る予定です。

ニュースリリースに関するお問い合わせ

飛島建設株式会社 経営管理本部 経営企画部 広報室 松尾 和昌 TEL: 044-829-6751

技術に関するお問合せ先

技術研究所 第一研究室 松田 浩朗 TEL: 04-7198-7572

ページ上部へ戻る