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コンクリート構造物非破壊診断技術「打音検査方式弾性波トモグラフィ」を開発(2014年8月28日)

コンクリート構造物非破壊診断技術「打音検査方式弾性波トモグラフィ」を開発
-打音検査をしながら内部の健全性を同時に診断-

 飛島建設株式会社(社長:伊藤寛治)は、塩谷智基特定教授(京都大学大学院工学研究科)、小林義和准教授(日本大学理工学部)との共同研究により、打音検査をしながらコンクリート構造物内部の健全性診断が同時にできる「打音検査方式弾性波トモグラフィ」図1)を開発しました。本技術は、片側表面から内部の健全性診断が可能な「一面配置型弾性波トモグラフィ(平成24年度開発)」を改良したものです。
 本技術により、これまで表層部の健全性は打音検査、内部の健全性は一面配置型弾性波トモグラフィを適用し、別々に実施していた包括的な診断を同時に実施することが可能となり、コンクリート構造物の健全性を診断する点検作業の効率が飛躍的に高まります。今後、コンクリート構造物の維持管理・リニューアルを必要とする国や地方自治体、ならびに民間の構造物管理者に本技術を展開していく予定です。


打音検査方式弾性波トモグラフィの特長

 一面配置型弾性波トモグラフィに、打撃発信波形および打撃発信位置の推定機能を加え、打撃発信波形の取得および打撃発信位置の同定のための発信点センサを不要としました(図2)。これにより、
 (1)データを減らすことなくセンサ配置数を減らすことができ、計測に要する労力・時間が削減されます。
 (2)打撃発信位置に制約が無く“叩けば叩いただけ”データが増え、検出精度の向上が容易に図れます。
 (3)打音検査と一面配置型弾性波トモグラフィによる同時診断で、点検作業の効率が飛躍的に向上します。


 

図1 打音検査方式弾性波トモグラフィ
 
図2 発信点センサ不要の打音検査方式

打音検査方式弾性波トモグラフィの詳細

 一面配置型弾性波トモグラフィ(図3)は、構造物を挟み込むようにセンサを配置する必要がある一般的な弾性波トモグラフィとは異なり、トンネルやダム、橋梁床版、よう壁などのように、センサの配置が片側表面に制限される場合でも内部の診断が可能です。しかし、この一面配置型弾性波トモグラフィの適用には、打撃発信波形の取得および打撃発信位置の同定のための発信点センサ(兼 受信点センサ)が必要です。そのため、解析データを増やし検出精度の向上を図るためには、打撃発信を増やす、つまり、さらに多くのセンサを配置する必要がありました。
 今回開発した打音検査方式弾性波トモグラフィ(図4)では、これまでの一面配置型弾性波トモグラフィに打撃発信波形および打撃発信位置を推定する機能を追加することで、更なる効率化を実現しました。
 本機能は、打撃発信波形および打撃発信位置を、受信点センサで得られる受信波形データに基づく統計処理により推定するものです。これまでの一面配置型弾性波トモグラフィにおいて必要であった、打撃発信波形の取得および打撃発信位置の同定のための発信点センサを必要としません。この機能により、解析データを減らすことなく、センサ配置数を減らすことができ、計測に要する労力・時間が削減されます。
 さらに、この打音検査方式により、発信点センサ数に依存する(打撃発信は発信点センサ近傍に限られる)ことなく、打音検査のような任意の位置・頻度による多数の打撃発信を利用できます。つまり、叩けば叩いただけ解析データが増え、センサ配置数を減らしつつも、従来の一面配置型弾性波トモグラフィと同等以上の検出精度で診断できる手法です。


 

図3 一面配置型弾性波トモグラフィ計測
 
図4 打音検査方式弾性波トモグラフィ計測

適用事例

 図5は橋台構造物の鉛直ひび割れの検出確認試験に適用した事例です。評価範囲は縦1.5m×横2.4m(図6)で、鉛直ひび割れが発生しています。この評価範囲に対して、従来の一面配置型弾性波トモグラフィと打音検査方式弾性波トモグラフィを適用しました。センサ配置数は前者が16個、後者が4個です。準備と計測にかかった時間は前者が1時間、後者は15分でした。さらに、打音検査のような多数の打撃発信の利用により、後者はセンサ配置数を減らしつつも検出精度を向上させることができています(図7、図8)。図中において、緑色から赤色で示される相対的に速度の低いところが損傷のある部分で、後者の打音検査方式弾性波トモグラフィ結果では、鉛直ひび割れのあるところと速度の低いところがよく対応しています。


 

図5 検出確認試験対象(鉛直ひび割れ)
 
図6 検出確認試験範囲
     

 

図7 一面配置型弾性波トモグラフィ結果
 
図8 打音検査方式弾性波トモグラフィ結果

今後の展開

 2025年度には建設後50年以上経過する橋梁などのコンクリート構造物が一般国道・地方道など合わせて約70,000箇所に及ぶと想定されています。コンクリート構造物の効率的な健全性診断~延命化対策などの要請が拡大する将来を見据え、コンクリート構造物の維持管理・リニューアルを必要としている国や地方自治体、あるいは民間の構造物管理機関などを中心に展開していきます。



※)一面配置型弾性波トモグラフィ

 表面波成分の特性に着目し、構造物の片側表面で計測した表面波速度の分布図として内部や背面側の健全性を可視化します。これにより、コンクリート構造物内部のひび割れや空隙などの位置や程度を、構造物の片側表面からのアプローチでも短時間で広域的に把握できるようになりました。これまで展開してきた「3次元構造物健全性診断システム『DaCS-3D』」では適用できなかった“挟み込むことができない”構造物に対しても、弾性波トモグラフィによる広域的な健全性診断が可能です。

ニュースリリースに関するお問い合わせ

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技術・資料に関するお問合せ先

飛島建設株式会社 技術研究所 研究開発G 第一研究室 桃木 昌平 TEL: 04-7198-7572

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