建築基準を満たした建物であっても、安全とは限りません。
いま、「大地震は必ず、何処にでもやって来る」という不安が高まり、建物など保有資産の耐久性への不安感から建物地震対策のニーズが高まっています。
庁舎、学校、病院といった公共建物は緊急時に防災センター、避難所、医療施設となることから、これらの建物の耐震性能の確保は現在、極めて緊急、かつ重要な課題となっています。
民間においては、保有する商品、設備機器の維持、テナント確保が可能な、地震対策に優れた建物が選ばれるような傾向が進んでおります。今、まさに、建物に応じた適切な耐震性能(工法)が求められています。
建物に取り付けられた制震装置によって、建物に伝わってきた地震エネルギーを吸収し、制御します。
柱や壁などの頑丈な構造部材等で建物そのものを強固にして、地震エネルギーに耐えます。
建物下部に地震エネルギーを吸収する装置を取り付け、直接建物に伝わる地震エネルギーを軽減させます。
耐震技術はそれぞれの優れた特長を持っていますが、制震工法技術は鉄道車両や自動車のショックアブソーバーなど揺れを抑える技術して身近なものにも採用されています。
「制震工法」は建物の損傷や室内家具、電化製品の転倒、揺れによる恐怖を軽減させることができます。
高層ビルの場合、ゆっくりとした揺れが長く続く傾向があり、建物の構造自体に損傷がない場合でも室内の内装材等の損傷が発生してしまう恐れもあります。この「長周期地震動」に対しても、制震工法は効果が高いといわれています。
てこの原理を応用したトグル制震装置(増幅機構付油圧制震ブレース)は、2本のトグル腕と1本のオイルダンパーで構成され、ダンパーの伸縮量(B)をフレーム頂部(A)の変位の2~3倍に増幅させています。このトグル機構により、地震エネルギーを効率よく吸収することができます。
この機構をブレーキに例えると、建物に水平に取り付けた場合よりも、2?3倍踏み込めるというイメージです。
図のように、地震エネルギーを吸収するダンパーには、様々な取付方があります。トグル制震装置はトグル機構により、オイルダンパーを動かす速度が速くでき、同じ減衰性能をコンパクトなオイルダンパーで発揮することができます。オイルダンパーは半永久的に性能劣化がありません。