飛島建設統合報告書2022
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26•……今回、マテリアリティ特定に取組まれたことに敬意を表したい。そして今後も、自社を取り巻く事業環境や会社の戦略に合わせて常に見直し、バージョンアップしていくことを期待したい。•……建設業は、数十年という長期にわたって使用されるインフラを建設する事業である。よって、SDGsや脱炭素の取組みに関して、2030年~2050年といった将来を見据え、長期目標を設定し、その達成のために何をすべきか検討することが望ましい。•……環境面においては、脱炭素の推進が重要な課題である。また、建設業では循環型ビジネスモデルの構築が求められている。更に、生物多様性や生態系保護について、国際的に関心が高くなっている点を認識し、自社の事業との関係を分析しておくことが重要である。•……現在、人権に関する企業の責任が強く問われている。単なる理念や標語ではなく、人権尊重を事業上の重要課題として捉え、PDCAサイクルを通じてマネジメントする必要がある。•……こうした脱炭素・生態系保護・人権といった問題について、バリューチェーン全体を視野に入れて対応することが期待されている。今後も着実に活動を進めていただきたい。•……建設業全般として、若手の募集や採用、女性活躍に関する課題が多く挙げられる。キャリア形成を含めた若手人材の育成、ダイバーシティの一環としての女性活躍、ワークライフバランスなどに取組んでいくことを期待したい。•……貴社では、テレワークやフレックス制などの推進、社員の意見を吸い上げる取組みを進めて働き方改革を行っている点が素晴らしいと思う。また、法改正によって、今後は企業も男性社員の育児休業の取得促進に対応しなければならないが、貴社の男性社員の育児休業取得率は現時点で日本全体での平均よりも高い。今後の働き方の素地を作る点で非常に重要であると思う。•……ワークライフバランスや女性活躍の取組みを推進するためには、KPIを細かく設定することが必要である。女性管理職の人数や割合などの達成に時間を要する指標だけでなく、女性社員の就業年数や子どもが生まれた後の就業人数など、様々な指標を設定し、女性活躍に関するロードマップを見せていくことが重要である。•……建設業の場合、本社は比較的働き方改革を進めやすいが、現場などの本社以外の職場では対応が難しいというのが実態だと思う。本社以外での働き方の多様化をどうするか、従業員の年齢構成と定年の問題なども含め、多様な働き方、多様な人材の在り方をどのように提案して取組んでいくかが、今後の課題になるだろう。•……建設業界は、建物の省エネや再エネ等の分野と親和性が高い。特にスコープ3…排出量が多いため、たとえば都市の場合は住宅や商業施設等の改修によるCO2の削減効果が非常に大きいとされている。そのため、バリューチェーンにおけるCO2排出量を把握し、SBT(Science…Based…Targets:科学的根拠に基づいた目標)の観点からCO2削減目標を設定し、脱炭素への取組みを進めていくことが望ましい。また、国内の間伐材を液状化対策等に活用する技術は、炭素固定に寄与するだけでなく、木材のサステナブルな調達にも関わるものであり、更に情報発信していくべきである。•……飛島建設は東南アジアやアフリカでも事業を展開しており、水資源への取組みが重要である。水源をはじめとした環境保全、汚染水の対策等に取組むとともに、そうしたリスクを適切に認識し対処していることを、情報開示していく必要がある。•……事業活動において、防災に関する豊富な取組みや実績がある点は素晴らしい。事業戦略と関連付け、社会課題を解決するソリューションを有すること、また顧客や地域等のステークホルダーへ貢献していることを、積極的に情報開示することが期待される。•……投資家や株主の期待に応えるためには、ESGへの取組みや財務状況に加えて、企業文化も重要である。トビシマグループの「利他利己」という創業精神が社内に浸透していることは、非常に素晴らしく、積極的に社外に発信することが望まれる。関 正雄様損害保険ジャパン株式会社 サステナビリティ推進部 シニアアドバイザー明治大学 経営学部 特任教授坂爪 洋美様法政大学 キャリアデザイン学部 教授榎堀 都様CDPジャパン アソシエイト・ディレクター、博士(環境学)成田 恭子様CDPジャパン シニア・マネージャーSXマテリアリティ特定に関する有識者コメント

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