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都市鉄道トンネルでの適用を目指した断面修復工法(TDRブレイブショット工法)の開発(2015年6月30日)

都市鉄道トンネルでの適用を目指した断面修復工法(TDRブレイブショット工法)の開発
 -作業終了後、初電通過前までに強度発現、3時間で圧縮強度6N/mm2、付着強度0.6N/mm2を実現-

 鉄道トンネルにおけるモルタルによる断面修復工事は、電車が止まっている夜間での工事であり、施工時間が2~3時間程度と短い中で、1回の施工で8~10cmの厚さを施工する必要があります。さらに施工後直ちに列車が通過することから、列車通過時の風圧や振動の影響を受けない、早期の強度発現性と、かつ平滑な仕上げができる施工性が求められます。

 この度、飛島建設株式会社(代表取締役社長伊藤寛治)と電気化学工業株式会社(代表取締役社長吉髙紳介)は、阪急電鉄株式会社と阪急阪神レールウェイ・テクノロジー株式会社の協力のもと、都市鉄道トンネルの断面修復工事での適用を目指し、短時間での強度発現が期待できる「TDRブレイブショット工法」を開発しました。

 本工法は、鉄道高架橋や道路橋で約20,000m2の施工実績を有する「TDRショット工法」を改良し、従来では不可能だった施工後数時間での強度発現、具体的には3時間で圧縮強度6N/mm2、付着強度0.6N/mm2を実現しました。さらに1回の施工で100mm程度の厚さが施工でき、施工表面を左官仕上げできるハンドリング時間も確保できます。

※TDRショット工法(Tough and Durable Repair Shot/高耐力かつ高耐久な吹付け補修工法)
 TDRブレイブショット工法(TDR Brave Shot/TDR+どんな厳しい状況にも対応できる工法)


列車通過時の風圧と従来の断面修復工法の課題

 劣化したコンクリート構造物の補修方法として、劣化したコンクリートを撤去し、ポリマーセメントモルタルの吹付けやコテ塗りによる断面修復工法が標準的に用いられています。しかしながら、ポリマーセメントモルタルは、材料の粘性によって、施工厚さを確保することから、一度の吹付け厚さでは約30mm程度の増厚が限界であり、時間をおいて何層かに分けて、所定の施工厚さを確保する方法をとります。

写真-1 頂版部の劣化コンクリートの撤去状況(施工厚さが10cm程度)

 都市鉄道の維持管理では、深夜24時以降の最終列車が通過後、起電停止を行い、さらに早朝5時前の始発電車が通過するまでに、作業の段取りも含め、全ての作業を完了させなければなりません。このため、実質の作業は2~3時間と短く、さらに作業完了後直ちに列車が通過すると言う厳しい環境です。特にカルバートトンネルの天端、側壁の補修は、重力に反した条件での施工であり、より一層厳しくなります。そのため、断面修復工法に求められる要求性能として、以下が求められます。

 ①短時間で所定の厚さ(100mm程度)の施工が可能なこと
 ②施工直後の列車通過時の風圧の変化や乾燥に対し、補修部材に「ひび割れ」「浮き」「はく離」などの悪影響が出ないこと

 列車通過時の圧力の変化については、飯田ら*1の実験・解析的研究で示されています。ここでは、新幹線のトンネル内で列車が交差し、さらに離反する際の壁面に作用する圧力変化を求めています。前者の場合、+10kPa、後者の場合で-10kPaとされています。この圧力は、列車の通過速度が速くなれば大きくなり、トンネル断面内に占める列車の面積が大きくなれば大きくなります。仮に±10kPaの圧力とは、水深では約1mの圧力となります。このような圧力が壁面に瞬時に作用することを想定する必要があります。

 
寸法単位:mm  
図-1 列車交差時の圧力(正圧+10kPa)
図-2 列車離反時の圧力(負圧-10kPa)
図-3 都市トンネルは新幹線に比べ、速度
は低いが列車面積が占める割合が大きい
図-4 10kPaは水深1.0mの圧力に相当、
瞬時にこの規模の正負圧力が壁面に作用する

 また、断面修復材が硬化する前に列車が通過するとその風の影響で補修部材が乾燥し、強度低下やひび割れの発生などの品質低下を招き易くなります。

 要求性能②に示すように、補修工事後、列車が通過する際には、断面修復材にも一定の強度、付着力の発現が求められます。ところがポリマーセメントモルタルに代表される通常の断面修復材では、強度が発現する前に列車が通過しています。

 *1:トンネル内圧力変動シミュレーション、飯田雅宣、前田達夫、鉄道総研報告、‘90.7


TDRブレイブショット工法の概要と優位性

  TDRブレイブショット工法のベースとなる「TDRショット工法」は、高品質の混和材を配合した無機系プレミックスモルタルで、図-5に示すように、圧縮空気に硬化促進剤を添加し、ミスト化してモルタルと混合、補修面に吹き付けます。硬化促進剤の効果により、モルタルが瞬時に可塑性することで、補修部材の厚付け(100mm程度)を可能にしました。

図-5 TDRショット工法の施工システム

 TDRブレイブショット工法は、このTDRショット工法の技術、システムをベースに、都市トンネルでの断面修復材の要求性能①、②を満足すべく、左官仕上げができるハンドリングタイムを有し、早朝の初電通過時も十分な強度発現が期待できる断面修復工法です。

図-6 TDRブレイブショット工法の強度発現状

 従来のTDRショット工法のモルタル配合に、新たに高性能な急硬材(カルシウムアルミネート系)をプレミックスし、これに遅延剤(オキシカルボン酸系)を配合しています。さらに吹き付け時に圧縮空気に添加した硬化促進剤(アルカリフリー液体急結材)を混合することで、3時間で圧縮強度6N/mm2、付着強度0.6N/mm2を実現しました。さらに強度が速く出現することで、風による初期乾燥の影響を受けにくく、収縮ひび割れの発生も低減できます。
(東京地下鉄(株)の早期強度の基準、24時間で付着強度0.6N/mm2を3時間で達成できます。)


■基本配合

 TDRブレイブショット工法の基本配合を表-1に示します。

表-1 TDRブレイブショット工法 吹付けモルタル配合
W/P
遅延剤
添加率
硬化促進剤
添加率
単位量(kg/m3)
プレミックスモルタル
13.0% 0.5~1.0 % 0.5~2.0 % 250
1925

■圧縮強度、付着強度(社内試験)
表-2 TDRブレイブショット工法 基本性能(N/mm2
種 類
強度特性
3hr
6hr
24hr
7日
28日
TDRブレイブショット工法
圧縮強度
7.7
11.0
26.9
44.2
52.3
付着強度
0.63
0.69
1.2
2.5
TDショット工法(従来)
圧縮強度
0.21
0.64
14.0
30.5
42.3
付着強度
0
0.15
1.1
1.6
2.1

■乾燥収縮(社内試験)
種 類 養生条件 寸法変化率
NEXCO断面修復材基準 JHS432試験法/48hr 脱型20℃、湿度60% 500μ以下
TDRブレイブショット工法 400μ
TDRショット工法(従来) 450μ

写真-2 TDRブレイブショット工法の施工状況
(施工厚さ100mmを一気に厚付け、左官仕上げを実施)
写真-3 TDRブレイブショット工法の吹付け状況
(連続的に吹き付けして、施工厚さ150mm以上に増厚)

写真-4 硬化状況(吹付け30分後でハンマーの痕が残らない)

※多様なニーズへの対応
 本工法は、厚付け施工性、強度発現性に優位性を有しています。鉄道に限らず、例えば、橋梁基礎の干満帯のように、従来補修が難しかった箇所への対応や、緊急補修が必要とされる場合など、多様なニーズへの対応が期待されます。


TDRショット工法について

■概要

 TDRショット工法は、平成16年に開発し、既に鉄道高架や道路橋などを中心に20,000m2の施工実績を有しています。


■技術の評価並びに登録

 ①「吹付けモルタルの性能評価試験結果報告書/NEXCO断面修復材基準」施工技術総合研究所、H16.12
 ②NETIS登録:KT-050010V、H19.11(登録期間経過につき抹消)
 ③西日本旅客鉄道株式会社断面修復材料認定、H22.8


■主な施工実績
事業者 工事名
①近畿地方整備局滋賀国道事務所
②日本道路公団北陸支社敦賀管理事務所
③関東地方整備局横浜国道事務所
④西日本旅客鉄道株式会社
⑤NEXCO西日本福岡支社八幡管理事務所
⑥福岡北九州道路公社
⑦本州四国連絡橋高速道路株式会社
⑧八王子市
⑨大牟田市
⑩京都市
西大津BP補修工事
北陸自動車道 樫曲高架補修工事
金沢共同溝工事
山陽新幹線高架橋修繕工事
九州自動車道 植木橋他補修工事
北九州4号線北41号工区トンネル改築工事その1
門崎高架橋橋脚剥落対策工事
市道由井393号線排水施設工事
大牟田市栄町2丁目線都市下水路外1線改良工事
洛南浄化センター重力式汚泥濃縮槽補修工事

ニュースリリースに関するお問い合わせ

飛島建設株式会社 広報室 松尾 和昌 TEL: 044-829-6751

技術・資料に関するお問合せ先

飛島建設株式会社 土木事業本部エンジニアリング部インフラ防災G 川端 康夫 TEL:044-827-6717


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