10 前期繰越高1,996億円をもってスタートした2022年3月期の主な業績内容として、連結売上高は前期比0.3%増の1,176億65百万円、営業利益は同14.5%増の45億75百万円、経常利益は同14.7%増の42億12百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同31.3%増の32億19百万円となりました。 振り返れば、長引くパンデミックの影響が継続し、中国のロックダウンや半導体不足等によるサプライチェーンの混乱に見舞われた一年ではありましたが、徹底した感染症対策によるクラスター防止やサプライチェーン・マネジメントの実践により、大きな工事遅延等を発生させることなく全事業を順調に進捗させることができました。 しかし、新型コロナウイルス禍はいまだ終息せず、加えてウクライナ情勢の影響により、世界経済は不安定なものとなっています。危機感をもって注視し、事業への影響を最小限に回避すべくリスク管理をしてまいります。 当社のルーツは、1883年に飛嶋文次郎氏が飛島組を創設し、福井城城郭取り壊し工事を請け負ったことに遡ります。以来、国内産業の隆盛や高度成長に合わせて「水力の飛島」「土木の雄」として全国に飛躍し、その後建築事業にも注力し総合建設業として成長を遂げながら現在に至っています。 この140年の歴史の中で、常にトビシマグループを支え今日の成長にまで導いてくれたのが、創業者の「利他利己」という精神と、偉大なる先人たちの「イノベーションマインド」でした。「利他利己」の精神がもたらす工事に対する誠実さは、発注者・地域住民からの厚い信頼を生み、次々と全国の難しい工事を任されるようになりました。また、様々な難局をブレイクスルーしてきた「イノベーションマインド」は1931年羽田飛行場(羽田空港の前身)の埋立事業を始め、その後の青函トンネル、本州四国連絡橋、東京湾アクアラインなどのビッグプロジェクトで遺憾なく発揮され、現在に至るまで脈々と引き継がれています。 5年前の2017年に私が代表取締役社長に就任し、推進した前中期3ヵ年計画は、土木・建築といった基盤事業のポートフォリオ改革によって、業量拡大に頼らない収益力の維持・向上を目指すものでした。そしてこの計画は1年前倒しで計画目標値を達成することができたことから、現在展開中の中期5ヵ年計画を新たに打ち出した次第です。 この中期5ヵ年計画の立案の際に私は、旧態依然としたクローズな建設業界の中で仕事の奪い合いをしているだけでは未来永劫の成長はなく、業界自体が縮小してしまい、若い人たちにとって魅力的な業界に映らないのではないかという危機感を抱きました。そして建設だけでなく周辺領域までお客様の色々なニーズに応えていくことがトビシマグループのパーパス(存在意義)ではないか、という強い思いを感じ、これを反映した計画としました。 現中期5ヵ年計画では、建設業の枠を拡げ、社会に潜在する多様なニーズや未解決の課題を読み取り、それらを解決する能力(スマートソリューションサービス)を備えた事業を数多く展開することで、超スマート社会Society5.0…を多様な人々と共に創っていくためのプラットフォーム「New…Business…Contractor」の形成を目指しています。2022年3月期ハイライトサプライチェーンの混乱等があった中、前期レベルの売上と増益をしっかりと確保。2023年で創業140周年トビシマグループの持続的成長を支える2つのDNA。中期5ヵ年計画(2020年3月期~2024年3月期)(▲詳細P15-16)の進捗状況未来の産業振興・発展を支える企業として「New Business Contractor」への進化と成長を図る。
元のページ ../index.html#11