11 この3ヵ年の進捗分析・評価として、定性面では、色々なデバイス開発や工事の進行・安全管理面を含めたDX革新は概ね順調に進み、「New…Business…Contractor」としての進化と成長への残り2年での総仕上げに向けた下準備を整えることができたのではないかと、一定の手応えを感じています。2021年2月にグループに加わってもらったITアーキテクトファーム「株式会社アクシスウェア」のPMI(Post…Merger…Integration)も想定通り図られ、直近の2022年4月にはNTTグループとの共同出資で、建設現場のDXを支援する新会社「株式会社ネクストフィールド」を設立しました。同社は、トビシマグループの建設現場ノウハウとNTTグループのICT技術・業務改善ノウハウを活かし、建設現場のDXトータルサポートとICTサービスの提供を行うもので、中小の地方建設企業を中心に引き合いが増えている状況です。なお今後に向けては、メンテナンス領域における新たなアライアンス締結やM&A実施の検討、DX活用に根差した機構改革(よりスピーディな組織づくり)を残り2年で進め、お客様の様々なニーズに応える「New…Business…Contractor」としての進化と成長を着実に進めていく考えです。 一方、定量面での進捗状況としては2022年3月期では、別掲(P7-8参照)に掲げる内容となりました。中期5ヵ年計画の目標値に対しては、コロナ禍による国内民間投資マインドの低迷等により、Growth(グロース)事業への投資を思うように行えませんでした。現中期5ヵ年計画の残り2年においては、トビシマグループの生業である土木・建築事業の一層の強化・収益力向上を図りつつ、グロース事業の投資・開拓を遅滞なく機動的に進めていく方針です。 社会からの要請に応えるサステナビリティの推進は、正に企業活動・企業価値の大前提です。トビシマグループではステークホルダーとの対話を深化しながら、DNAであるイノベーションマインドを原動力としたDXによる画期的な生産プロセスの変革を通じた『企業のサステナビリティ』と、創業精神「利他利己」の実践であるESG・SDGsに配慮した経営による『社会のサステナビリティ』を融合した『トビシマSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)』を推進し、企業価値の向上を目指しています。トビシマSXの推進においては、SDGsをはじめとする社会課題とトビシマグループの事業活動の関連を整理し、優先的に取組むべき重要課題(SXマテリアリティ)として10項目を特定しています。 この10項目の中で特に環境に関し、トビシマグループならではの取組みとしてご説明したい一つが、木材を使って炭素を地中に貯蔵する丸太杭の技術です。樹木は、大気から光合成により二酸化炭素を吸収及び炭素を固定し、酸素を排出します。そこから伐り出した丸太を酸素がない地下水以深に、液状化対策や軟弱地盤対策として打設することで、丸太の腐朽や蟻害などの生物劣化を防ぎ、半永久的に炭素を地中に貯蔵隔離します。従前より粛々と開発を進めていた技術でしたが、昨今の社会情勢を背景にここへきて見直され、今後の展開が大いに期待されます。 そしてご説明したいもう一つの取組みが、中小水力発電への取組みです。水力発電は、日本の豊富な水資源を活用した環境負荷の少ない再生可能エネルギーです。トビシマグループでは、…自社で調査・設計から建設・運転…管理にいたるすべてのプロセスを行う、中小水力発電事業に取組んでいます。現在、米沢大平(198kw/山形県)、三郷黒沢川(199kw/長野県)、神坂霧ヶ原(170kw/岐阜県)、落合平石(126kw/岐阜県)の4ヵ所が稼働中で、更なるプロジェクトも検討しています。 様々な学識者や公的機関のレポートの中で、また私が企画委員長を務める(一財)日本ダム協会の中においても、かねてより「21世紀は水の世紀である」と叫ばれてきました。他方、現在の我が国の水インフラについて私の所感を率直に申し上げれば、年々強さを増す自然のイントロダクショントビシマグループのSX(▶詳細P25-28)「21世紀は水の世紀」と言われる中でトビシマグループの真価を発揮していく。
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