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コンクリート中鉄筋の腐食状態を非破壊で測定する『Dr.CORR』(ドクターコロ)

技術概要

 膨大な社会基盤施設を抱える我が国においては、コンクリート構造物の維持管理にかかるコストの削減が急務です。 コストの削減には、劣化による変状が顕在化する前に予防保全的な対策を取ることが効果的であり、腐食ひび割れ発生前に鉄筋の腐食を把握することが重要です。 従来の測定機器を用いて鉄筋の腐食を把握する場合、鉄筋と機器を接続するためにコンクリートを一部はつり出し、測定中にプローブを手で保持する必要がありました。 腐食測定機「Dr.CORR」は、これらの課題を解決する画期的な技術です。 完全非破壊かつハンズフリーで測定可能となるため、はつり作業に伴う粉じんや汚水等の発生が無く、作業者の労働環境を改善することで、生産性向上、働き方改革にも貢献します。

写真-1 鉄筋腐食測定機『Dr.CORR』本体および測定プローブ

写真-1 鉄筋腐食測定機『Dr.CORR』本体および測定プローブ

特徴

  1. コンクリートをはつり出すことなく構造物中鉄筋の腐食状態の判定が可能です。
  2. 測定に使用する3つのプローブは、独自に開発した粘着導電性ゲルで固定するため、測定中はハンズフリーとなります。
  3. PCやモバイルバッテリーから給電可能であるため、大掛かりな電源装置が不要となります。

測定手順

  1. 測定対象の直上に測定プローブ(黒・青)を設置します。
  2. (黒・青)以外の測定プローブは、測定対象と導通している鉄筋上かつ、それぞれの測定プローブが直線距離で1300mm以上離れるように設置します。
  3. 専用のソフトウェアによってインピーダンススペクトルを自動で取得し、解析します。
  4. かぶり、鉄筋径、鉄筋間隔を入力することで分極抵抗および腐食速度が算出可能です。
図-1 鉄筋腐食測定機『Dr.CORR』による鉄筋腐食測定のイメージ

図-1 鉄筋腐食測定機『Dr.CORR』による鉄筋腐食測定のイメージ

現場適用事例

 測定精度の検証およびデータの蓄積を目的として、いくつかの補修工事現場にて試験的に測定しました。その一例として、鉄道高架橋補修工事での適用状況を紹介します(写真-2)。

写真-2 鉄道高架橋補修工事での測定状況

写真-2 鉄道高架橋補修工事での測定状況

外部団体からの表彰・外部団体への登録状況

 近畿整備局のインフラDXコンペにて、審査員特別賞を受賞(2023.11.1)

Keyword
鉄筋コンクリート構造物、非破壊検査、鉄筋腐食、交流インピーダンス、電極抵抗
関連資料
ニュースリリース:コンクリート中鉄筋の腐食状態を非破壊で測定する『Dr.CORR』を研究開発
https://www.tobishima.co.jp/press_release/detail/20230713142204.html
関連技術
 
関連論文
  • 金子泰明, 橋本永手, 加藤佳孝:交流インピーダンス法を用いた完全非破壊での腐食程度推定, コンクリート構造物の補修・補強 アップグレード論文報告集19,pp.397-400,2019.10
  • 加藤佳孝, 橋本永手, 金子泰明, 平間昭信:電気化学手法を用いたコンクリート中鉄筋の腐食状況を把握する方法の提案,コンクリート工学59(5) ,pp.416-421,2021
  • 橋本永手, 田中基, 金子泰明, 加藤佳孝:コンクリート中鉄筋との導通を要しないインピーダンススペクトルの把握手法,コンクリート工学年次論文集43,pp.1211-1216,2021.7
  • 田中基, 橋本永手, 金子泰明, 加藤佳孝:コンクリート中鉄筋との導通を要しない腐食状態推定手法の検討,コンクリート工学年次論文集43,pp.1229-1234 ,2021.7
  • Nagate Hashimoto, Motoki Tanaka, Yasuaki Kaneko, Yoshitaka Kato, Akinobu Hirama: Development of a method for obtaining Nyquist plots identical to those of the three-electrode AC impedance method in concrete-embedded rebar without requiring electrical continuity, Journal of Applied Electrochemistry,53, pages1895–1909 , 2023