金出地ダム堤体建設工事

金出地ダム堤体建設工事

ダム建設で実績を築き上げてきた飛島建設、
その新たな挑戦

飛島建設は創業以来、全国各地のダム建設に携わり、豊富な実績を残してきました。その実績と、これまで培ってきた土木分野における確かな技術力を生かし、このたび兵庫県西部を流れる鞍居川の「金出地(かなじ)ダム」建設プロジェクトに従事。飛島建設の技術力が改めて試される大規模プロジェクトに携わりました。

  • 土木事業本部 土木技術部 トンネルグループ:兼松 亮(Ryo Kanematsu)

    土木事業本部 土木技術部 トンネルグループ

    兼松 亮

    Kiyoshi Kanematsu

    2000年 入社

    地質の専門家として、現場の岩盤調査を担当

  • 金出地ダム作業所 所長:西浦 和幸(Kazuyuki Nishiura)

    金出地ダム作業所 所長

    西浦 和幸

    Kazuyuki Nishiura

    1991年 入社

    所長として現場の総合的なマネジメントを行う

  • 土木事業本部 土木技術部 ダム・土工グループ:大平 信吾(Shingo Ohira)

    土木事業本部 土木技術部 ダム・土工グループ

    大平 信吾

    Shingo Odaira

    1993年入社

    プロジェクト全体の進行管理を担当

MISSION

ダム建設にあたって掲げられた3つの目的

ダムが建設される千種川水系は、これまでにたびたび大規模な水害に見舞われてきた地域。それに加えて近年は川の水量が減少傾向にあり、鞍居川の水を利用する地域の稲作に大きな影響を及ぼしている問題もありました。そこで「洪水防御(治水)」および「農業用水の確保(利水)」が金出地ダム建設の大きな目的となります。
また鞍居川一帯は、アユやホタルの他に「マヤラン」「オチフジ」といった地域固有の植物が多数生息する地域。「河川環境の保全」もダム建設の重要な目的です。
これら3つを主要な目的として掲げ、金出地ダムプロジェクトは始動します。

PROJECT MEMBER

ダムのスペシャリストたちが集結、
力を合わせ工事に挑む

巨大な建設物であるダムの工事には通常、複数の企業が参加し、互いに協力して工事を進めることになります。金出地ダム建設にあたっては、飛島建設を含め、ダム工事のスペシャリストといえる企業が4社集結しました。その中でも飛島建設は、現場を取りまとめる中心的立場を担うことになります。

責任者として現場をまとめ上げる“現場所長”に抜擢されたのが、ダム工事の経験豊富なベテランの西浦。工事を滞りなく進めていくため現場に常駐し、現場全体の管理・統括を行います。

ダムのスペシャリストたちが集結、力を合わせ工事に挑む

土木事業部所属の大平は、プロジェクト全体の進行管理を担当。工事前にはお客様である兵庫県様に向けた、技術提案書の作成や施工計画書の作成に参画します。工事開始後は、過去の工事データなどを参照したり、現場を視察したりして、工事を効率良く進めるアドバイスを提言。現場と本社をつなぐパイプ役を果たします。

またダムは本体となるコンクリート部分はもちろん、土台となる「岩盤」の状態が非常に重要。万が一岩盤の状態が悪ければ、そこにダムを建設することは難しくなります。そこで地質の専門家として、岩盤部分の調査を担当したのが土木事業部所属の兼松です。ダム本体を打設する前に、周囲の土地を切り崩す「掘削」の段階で現場に出向き、むき出しになった岩盤の状態を調査し、工事を安全に進めるためのアドバイスをする重要な役割を果たしました。

「ダム工事にはダイナミックなイメージがあるかもしれませんが、こうした一つひとつの作業や調査に目を向けると、意外と地味で緻密な作業の積み重ねだったりもする。そうした豪快さと繊細さが同居するところが、ダム工事の魅力だと私は思います」(兼松)

DIFFICULT

難しいポイントは、
金出地ダム独特の「立地条件」

難しいポイントは、金出地ダム独特の「立地条件」

工事にあたって、特に難しいポイントとなったのがダムの立地条件です。金出地ダムの建設場所は、地域住民の居住地と密接した場所でした。そこで工事の際に発生する騒音・振動をいかに軽減できるかが課題になります。

また、ダム工事には周辺の環境・生態系を壊してしまう可能性が少なからずつきまとってしまうもの。とりわけ豊かな自然環境を誇る鞍居川の工事においては、いかに生態系を壊さず工事を進められるかが大きなポイントとなります。

地元住民と周辺の自然環境、この二つに対する配慮が工事にあたってクリアすべき大きな課題でした。

難しいポイントは、金出地ダム独特の「立地条件」
SOLUTION
撮影:西山芳一氏

美しい自然を守りつつ、
地元との良好な関係も構築

美しい自然を守りつつ、地元との良好な関係も構築

工事現場における騒音・振動を軽減するため、飛島建設が開発した独自技術が「工事騒音リアルタイム評価・対応システム」です。これは現場で発生する騒音をコンピューターによって24時間監視し、騒音レベルが基準値を超えた場合にその発生場所を判別、迅速な対応を可能にした技術です。

このシステムを活用することで、金出地ダムの現場でも工事騒音の大幅な軽減を実現しました。加えて西浦はトラックで現場に資材を運搬するときも、民家近くの道路は通行しないよう指示を徹底します。

また西浦を中心に、プロジェクトメンバーは定期的に住民のお宅を訪問し、地元のお祭りや催しにも積極的に参加。こうして地域住民と良好な関係を築いたことで、工事に対する理解を得ることができ、夏期の電力需要に対する協力として、夜間工事も解禁される運びになりました。

また地元側も、ダム工事の現場を見学する「夜間工事ツアー」など一般人向けの多くのイベントを主催。ダム愛好家をはじめ全国から多くの人が集まり、結果的に地域活性化にもつながったといいます。

自然環境の保護のため、工事の際には濁水処理設備はもちろん、有害物質である“六価クロム”の流出を防ぐ処理設備も現場に設置。水質汚染が起こらないよう細心の注意を払います。

こうしたさまざまな努力の末、金出地ダムは2016年5月に4年3ヶ月の歳月をかけて完成。お客様である兵庫県様から、非常に高い工事評価をいただくことになりました。

美しい自然を守りつつ、地元との良好な関係も構築

「完成後、巨大なダムを背景にたくさんのホタルが飛び回る幻想的な光景を見たときは本当に感動しました。鞍居川の美しい環境を守りながら、無事に工事を終えることができたと、そのとき実感したんです」(大平)

「だんだんとダムに水が貯まっていく光景を目にしたときは、達成感もじわじわとわきあがってくるようでした。入社以来、私は6つのダム建設に携わりましたが、金出地ダムはその集大成になった気がします。今回の経験を次の現場にもまた生かしていきたいですね」(西浦)

プロジェクトメンバー
からのメッセージ

  • 金出地ダム作業所 所長 西浦 和幸
    金出地ダム作業所 所長西浦 和幸

    ダム工事の現場で何よりも大切なのがコミュニケーション。現場におけるコミュニケーションはもちろん、地元住民、社外団体、さまざまなレベルのコミュニケーションが工事遂行には必要不可欠です。そのような人とのつながりを大切にできる人と、一緒に働けたら嬉しいですね。

  • 土木事業本部 土木技術部 ダム・土工グループ 大平 信吾
    土木事業本部 土木技術部 ダム・土工グループ大平 信吾

    飛島建設はダムやトンネルといった土木分野においては特に、品質の高いものをつくり上げてきた自負があります。そのような仕事の現場はときにタフな工事になることもありますが、土木に興味がある人にとっては最高にやりがいのある仕事になるはずですよ。

  • 土木事業本部 土木技術部 トンネルグループ 兼松 亮
    土木事業本部 土木技術部 トンネルグループ兼松 亮

    私たちの仕事で何よりも大切なのは「ものづくりが好き!」という情熱。仕事に必要な知識・技術は入社後に覚えればいいのです。しかしそうした情熱まで人から教わるのはなかなか難しい。だからこそ、ものづくりへの熱い情熱を胸に秘めた人と一緒に働きたいと私は強く思います。