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施工技術

飛島の技術-建築のメインビジュアル

CCB-NAC工法(鉄筋挿入型ひび割れ制御工法-増打ちなし工法)

技術概要

 CCB-NAC(Crack Control Bar - No Additional Concrete)工法とは、鉄筋コンクリート造耐震壁(無開口)の収縮ひび割れ発生位置を制御する工法で、確実に誘発目地内へひび割れを誘導させると同時に、目地部以外の壁面へのひび割れを防止することが可能となります。本工法の特長は、目地位置でのコンクリート比率を減らす手段として、目地に沿って太径異形鉄筋のひび割れ誘発材および壁縦筋を直線状に配置する点です。このたび、耐力算定時に目地底間寸法としていた従来型のひび割れ誘発目地工法の問題を解決し、壁の増打ちコンクリートが不要とできるメリットがあります。
なお、本工法は(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明を受けております。

概要図 イメージ

概要図

詳細断面図 イメージ

詳細断面図

立面図イメージ

立面図

平面図 イメージ

平面図

技術の特徴

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    専用の固定治具

    • 壁表面の増し打ち部に設けた欠き込み目地と壁断面中央部のひび割れ誘発材および壁縦筋を一直線上に配置し、コンクリート打設中に誘発材が移動しないよう、本工法用に開発された専用の固定ジグを用いて誘発材を固定します。
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    ひび割れ誘発材の設置

    • ひび割れ誘発材は、床スラブ天端から上階梁下端までの間とし、上下階の梁内には定着しないように配置します。
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    増打ちコンクリート不要

    • 従来の工法では、目地厚さ分の増打ちコンクリートを設ける必要がありましたが、本工法を適用することで、増打ちコンクリートが不要となり、その分の材料コスト削減および建物重量の軽量化を図ることが可能となります。

従来工法との比較、長所

  • ひび割れを目地内に誘導できるため、防水処理が容易になり、美観を損ないません。
  • 通常の耐震壁と同等の強度を持つため、雑壁をはじめさまざまな箇所に使用できます。
  • 特殊な材料を使用しない(JIS 規格品の異形棒鋼を用いる)ため、品質や耐久性などに関する懸念がありません。
  • 専用の固定ジグを使用することで、簡易ながらも精度の高い施工を可能にしています。
  • 鉄筋工による一連の作業の中でひび割れ誘発材の取り付けが可能であり、類似工法と比較して作業効率に優れ、対策費用が安価です。

主な適用範囲

    構造規定

  • ひび割れ誘発目地の深さの総和は、壁厚の20%以内。
  • 誘発材率(目地底間寸法に対するひび割れ誘発材の呼び径の比率)は、7.5%以上かつ20%以下
  • 総断面欠損率(全壁厚に対する目地深さおよびひび割れ誘発材と壁縦筋の呼び径の合計の比率)は、25%以上かつ48%以下

    適用部位

  • 鉄筋コンクリート造耐震壁(無開口)、鉄筋コンクリート造二次壁

    使用材料

  • コンクリート
    コンクリートの種類:普通コンクリート(JASS5)
    設計基準強度Fc(N/mm2):21≦Fc≦48
  • 鉄筋(誘発材)
    異形鉄筋:SD295A、SD295B、SD345、SD390 (JIS G 3112)
  • 固定ジグ
    CCB工法協会が指定する専用固定ジグ (岡部㈱製)

外部団体からの表彰・外部団体への登録状況

  • 建築技術性能証明:CCB-NAC工法(財)日本建築総合試験所 GBRC性能証明 第14-24号改1
  • NETIS番号:KT-150088-A

施工手順

誘発材の固定状況 イメージ

誘発材の固定状況

目地内に誘導したひび割れ イメージ

目地内に誘導したひび割れ

Keyword
 
関連資料
  • ニュースリリース 2015年2月 CCB-NAC工法の開発
  • ニュースリリース 2017年3月 CCB-NAC工法の改良
関連技術
 
関連書籍
  1. 2015年5月 建築技術5月号
  2. 2018年3月 建築技術3月号
  3. 2019年3月 コンクリート工学 Vol.57 テクニカルレポート
関連論文
  1. 2017年2月  日本建築学会技術報告集 第23巻 第53号 1-6
  2. 2017年3月  構造工学論文集 Vol.63B
  3. 2017年6月  日本建築学会構造系論文集 第82巻 第736号
  4. 2017年10月  日本建築学会技術報告集 第23巻 第55号
関連特許
No.4719032、No6902125

※本工法は、CCB工法協会が技術の向上および健全なる発展のため、研究開発から普及活動、施工に関する助言まで行っています。当社は、2012年4月の発足から参画しており、協会メンバーの一員として技術支援を行っています。