ARCHITECTURE
DESIGN

設計技術

飛島の技術-建築のメインビジュアル

RCLTスラブ

 カーボンニュートラルが注目される昨今、木材を積極的に利用した建築の可能性が模索されています。その中でも大規模建築に木材を使用する場合にはCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)を利用した事例が増えています。CLTはラミナを繊維方向が直交するように積層接着した木質部材であり、異方性が低減された面材として、壁や床、屋根などに使用されます。
 飛島建設ではCLTの利用方法の一つとして鉄筋コンクリート造(RC造)建物の床スラブにCLTを採用した「RCLTスラブ」を提案します。RCLTスラブはRC梁の側面にRC片持ちスラブを設け、その上にCLTをスラブとして配置します。片持ちスラブとCLTの間には接合具を配置して定着することで、CLTスラブを強固に支持します。接合具には引きボルト接合のほか、グルードインロッド接合(GIR接合)を採用しています。

RCLTスラブの構成

RCLTスラブの構成

実大床試験体

実大床試験体

技術の特徴

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    RCスラブと比較して最大16%の重量低減

    比重の軽いCLTを採用することでRC造スラブよりも建物を軽量化します。軽量化によって地震時の水平力が低下し、耐震性能の確保や主架構であるRC部材のコストダウンにつながります。また型枠組立時にCLTを設置することで床面が構成されるため、コンクリート打設時の作業スペースが確保され、施工性が向上します。

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    RC梁とCLTの接合にGIR接合を採用

    GIR接合は金物をCLTに埋設しているため、外部に露出せず、意匠性の高い接合となっています。強固な接合によりたわみを抑制し、振動歩行を低減します。単純支持のCLT板よりも長いスパンの床を構築可能なので、RC架構であっても小梁を配置することなく、床スラブが設計可能です。

主な適用範囲

  • 建物構造:RC造、SRC造
  • 建物規模:一般的な架構スパン(10m以下)に適用可能

施工手順など

① CLTへのGIR定着

施工手順①

② 躯体の配筋・型枠と共にCLT設置

施工手順②

③ コンクリート打設

施工手順③

④ 養生後、脱型

施工手順④