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安全管理DXを加速する不安全行動検出AIシステムを開発

~ネットワークカメラ映像の活用~

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 飛島建設株式会社(代表取締役社長:築地 功)および株式会社アクシスウェア(代表取締役:西内 克至)は、安全管理業務におけるDX推進の一環として、作業所に設置されたネットワークカメラの映像を活用し、荷役作業や脚立使用時の不安全行動を自動的に検出する、不安全行動検出AIシステムを「AI現場監督®」の一機能として開発しました。
 市販のネットワークカメラの映像利用が可能で専用機器の導入が不要であり、工事現場ではカメラの設置方向を調整するだけで運用可能です。これにより、ハードウェア調達コストや現場側の運用負担を大幅に軽減します。
 2024年8月から現在まで4つの作業所でこのシステムを運用しており、今後も適用可能な現場へ順次導入していく予定です。

 近年、工事現場へのネットワークカメラの設置が一般化し、遠隔での状況確認やトラブル発生時の記録映像の確認など、その活用が進んでいます。一方で、工事現場の多数の映像を見続けるには専任の担当者が必要となるため、大部分の映像は活用されずに蓄積または破棄される状況にあります。これらの映像は工事現場に関する貴重な情報資産であるものの、従来は人の介在がなければ有用な情報へと変換できないという課題がありました。
 このような課題を背景に、画像認識技術を利用してネットワークカメラ映像から有用な情報を自動的に抽出するAIシステムの開発に着手しました。開発初期段階では、数ある有用な情報の中から「不安全行動」に着目し、特に「トラック荷台でのよじ登りと飛び降り」及び「脚立・可搬式作業台の不適正使用」の2つを検出対象として選定しました。
 これらの不安全行動を選定した背景として、建築現場におけるネットワークカメラの設置パターンがあります。一般的に、建築現場では車両の出入りが頻繁なゲート周辺や、危険を伴う躯体工事が行われる最上階にカメラが配置されることが多く、これらの位置では映像収集が比較的容易に実現できるためです。

 本不安全行動検出 AI は、作業所のネットワークカメラの映像を蓄積し、その中から上述の不安全行動に該当するシーンを収集しAIに学習させています。不安全行動をAIに学習させるためには、映像から、人物やトラック・脚立等の不安全行動に起因する物体の検出や人物の姿勢推定、人物やトラック・脚立等の領域・位置関係を特徴量として抽出します。これらの特徴量から不安全行動を学習するマルチモーダルモデルを構築しました(特許出願中※)。
 今回開発した不安全行動検出システムは、作業所ネットワークカメラ、AI推論実行、結果確認Webアプリにより構成されています(図1)。

図1
図1 不安全行動検出AI システム構成

※特願2025-022814(出願人 飛島建設株式会社、株式会社アクシスウェア)

 検出結果確認Webアプリでは、不安全行動の検出結果を確認できる他、日々の検出件数の推移や不安全行動の種類をグラフ等で確認することができ、各作業所の安全意識の傾向を分析することが可能です。また、AIの検出結果に対する正誤チェック機能も備えており、日々のシステム運用を通じてAIの精度向上を半自動的に実現する仕組みが実装されています。
・検出現場一覧画面:検出対象の作業所の結果を一覧で表示。
・検出サマリ画面:日々の検出件数や時間帯ごとの検出結果・不安全行動の種類をグラフで表示。発生の傾向や件数の推移から現場の安全意識を分析(図2)。
・検出結果一覧画面:各検出結果における不安全行動の種類やサムネイル画像を表示(図3)。
・検出結果詳細画面:不安全行動と検出された瞬間を、前後の動きを含めて画像や動画で表示。また、詳細画面を確認した際にAIの検出結果の正誤を評価するボタンを設置。ここで記録された評価はAIの精度向上へ活用される仕組みとなっている(図4)。
※いずれも図も、実際の画面ではモザイク処理はありません。

図2
図2 検出結果のサマリ画面
図3
図3 検出結果一覧画面
図4
図4 検出結果一覧画面(トラック荷台から飛び降りている瞬間を検出)

 本システムは2024年8月より順次作業所への導入を開始し、現在累計で4つの建築作業所(ネットワークカメラ計7台)で運用をしています。本システムはリアルタイムで不安全行動を検出するものではなく、前日に収集した映像データを夜間にAIが推論処理し、翌朝に作業所職員が結果を確認できる仕組みです。その仕組みにより、朝礼やKYミーティング等における前日の作業の反省及び安全意識の向上に活用されており、加えてカメラの存在そのものが安全行動の意識を向上させる効果も生んでいます。

 本システムは、安全管理DXを推進するための第一歩として、ネットワークカメラ映像を活用した不安全行動の検出基盤を構築しました。今後は、開口部付近などより重視すべき危険行動やヒヤリハット検知など、検出対象を段階的に拡充するとともに、重要な機能を順次実装していきます。さらに、巡視・パトロール時のリアルタイム検出を追加し、現場の安全確認業務を強力に支援する方針です。これらの取り組みによって“安全をつくり出す”仕組みを確立し、安全管理DXを次のフェーズへと飛躍させます。

飛島建設株式会社 管理本部 広報部 
TEL: 03-6455-8312

株式会社アクシスウェア
TEL: 03-6262-2801