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TOBISHIMA×ANTARCTICA

飛島×南極

飛島×南極のメインビジュアル

南極での活動概要

地球の最南端に位置する極寒の大陸、南極。
飛島建設は毎年この土地に社員を派遣しています。

日本の国土のおよそ37倍もの面積を持つ氷の大陸、南極。地球上でもっとも寒冷な場所といわれ、1983年には内陸部でマイナス89.2℃を記録した想像を超える極寒の世界です。そんな南極を調査する南極地域観測隊(以下、南極観測隊)の一員として、飛島建設は1994年から毎年技術者を派遣しています。

飛島建設に課せられた大きなミッションは、南極における設営作業の取りまとめ役。言うなれば南極での「現場監督」的役割です。観測隊の活動拠点である昭和基地の設備メンテナンスや、発電関係施設や汚水処理施設など各建物の建設・解体・保守、インフラ整備や道路建設、ヘリポート整備など現地におけるあらゆる建築・土木作業全般に従事します。

南極での設営作業を成功させるには、研究者や医療従事者、料理人など、建設知識を持たない専門外のスタッフ達をまとめあげ、協力して作業に取り組む必要があります。また物資や機材が限られており、過酷な環境下での作業となるため、綿密な計画と作業遂行能力も要求されます。このような困難な状況下でも確実に任務を達成できる技術力と見識を買われ、飛島建設は20年以上にもわたり、この国家プロジェクトに携わっています。

ANNUAL SCHEDULE

プロジェクトの
全体スケジュール

南半球に位置する南極は、日本の冬時期に夏を迎えます。設営作業は南極の夏の時期(12月下旬~2月上旬)に行われるため「夏作業」と呼ばれます。約2ヶ月という短期間で現地での設営作業を全て完了して帰国する必要があるため、事前準備は出国の数ヶ月前から念入りに行われます。

  1. 7

    隊員室開設

    隊員室開設

    出発する年の7月、東京・立川にある国立極地研究所(以下、極地研)に隊員室が開設。南極観測隊のメンバーが集結し、訓練と事前準備がスタートします。

  2. 7月 ~10

    訓練の開始と事前準備

    訓練の開始と事前準備

    訓練開始。南極での設営作業に必要な数々の技術と知識を身につけます。例えば施設の防水工事を行う予定なら、隊員たちは専門業者の元に足を運び、防水加工技術を学びます。荷物を運ぶためのクレーンや雪かきを行うためのブルドーザーなど、現地の活動で必要になる資格もこの期間に取得します。

    訓練の開始と事前準備

    また訓練の合間を縫って、資材や物資を調達。現地で建設予定の建物は、チェックもかねて一度日本で組み立てます。現地で行う作業の段取りについても、テレビ電話やメールを通じて昭和基地と入念な打ち合わせを重ねます。

  3. 10

    砕氷艦しらせへ物資の積み込み

    砕氷艦しらせへ物資の積み込み

    一度組み立てた建物を解体し、部品ごとに丁寧に梱包。コンテナに収納して、砕氷艦「しらせ」に積み込みます。船の積載荷重は決まっているので、1kgでもオーバーしてしまうとやり直し。重量オーバーにならないよう細心の注意を払います。

  4. 11

    いよいよ南極へ出発!

    いよいよ南極へ出発!

    11月中旬、しらせは先行して日本を出港。その後を追って隊員たちも11月下旬、飛行機で日本を出発。オーストラリアでしらせと合流します。

    いよいよ南極へ出発!

    オーストラリアで隊員たちがしらせに乗り込むと、いよいよ南極に向けて出港。3週間ほどの船旅です。南極近海の氷を割って進む砕氷艦のしらせは、氷海ではない通常の海ではその構造上揺れやすくなっています。隊員の中には「酔い止め薬は必需品」なんて人もいるようです。

  5. 12月下旬

    南極到着・引き継ぎ作業の開始

    南極到着・引き継ぎ作業の開始

    12月下旬、昭和基地に到着。南極で越冬していた前次隊の隊員たちは、自分たち以外の人間を目にするのも1年ぶり。熱烈な歓迎を受けます。

    到着後、すぐに引き継ぎ作業を開始します。部門ごとの責任者は、前任者から各部門のルールや基地の運営方法について引き継ぎます。隊員たちは機材の使い方のレクチャーを受け、実際に前次隊の隊員たちと作業に取り組みながら作業内容を引き継ぎます。

  6. 12月下旬 ~2月上旬

    夏作業のスタート

    夏作業のスタート

    12月下旬、いよいよ夏作業が本格的にスタート。設備のメンテナンスはもちろん、発電関連施設や汚水処理施設など各建物の建設、インフラ整備や道路・ヘリポートの整備など、さまざまな設営作業に取り組みます

    夏作業のスタート

    帰国日までに予定作業を完了しなければいけないので、少々ハードなスケジュール。しかし休日には、隊員みんなで基地周辺をまわったり、ヘリポートでサッカーをしたりと南極の余暇をしっかり楽しみます。

    ペンギンやアザラシなど南極独自の生物との遭遇。まるで火星に来てしまったかのような荒涼とした風景。目の前に広がる全ての光景が、これまで体験したことのない異次元の世界。基地周辺は氷に覆われ、さまざまな発見や自然環境とも出会えます。

  7. 2月中旬 ~3

    夏作業の終了、帰国。

    夏作業の終了、帰国。

    2ヶ月間にも及ぶ夏作業が終了。2月中旬にはしらせに乗り込み、南極を後にします。

    帰路の船上でも観測業務を行います。例えば、南極近海に生息するクジラの生態観測など。また船上からは夜間にオーロラを目にすることもでき、その光景は神秘的の一言。南極周辺の大気は澄んでいるので、夜空には信じられないほどの星が広がっています。「人生観が変わった」という隊員もいるほど、美しい光景です。

    夏作業の終了、帰国。

    往路と同じく3週間ほどの航海を経てオーストラリアに到着。隊員は飛行機で日本に帰国し、9ヶ月間にもわたるプロジェクトが完了します。

DAILY SCHEDULE

ある派遣技術者の1日

  1. 6:30

    起床

    隊員たちは食堂に集まり、朝食を食べます。本日のメニューはご飯と味噌汁、焼き魚に納豆、たらこなど。食料保存技術も発達しているので、基本的に日本で食べるメニューと遜色ありません。調理隊員が腕をふるってくれるので、毎日美味しいご飯にありつけます。

    起床
  2. 8:00

    朝礼

    隊員全員でラジオ体操。その後、「誰が」「どこで」「どのような作業を行うのか」本日の作業内容を隊員たちは確認。安全事項の確認なども行います。

    朝礼
  3. 8:15

    作業開始

    朝礼後、隊員たちは作業エリアごとに分かれ各作業場所にトラックで移動。担当エリアに到着後、作業をスタートします。

    作業開始
  4. 10:00

    休憩

    菓子パンなどの「中間食」を食べ、エネルギー補給。水分補給も念入りに行います。極寒の南極ではエネルギーの消費も大きいため、作業の合間の中間食はとても重要です。大福などの甘いものは特に人気で、隊員たちで争奪戦が起きることも。休憩後、再び作業再開。

    昼食
  5. 12:00

    昼食

    基地に戻って昼食。本日のお昼は赤飯、蕎麦、天ぷらにお新香。午後からの作業に備えて、ボリューム満点の食事をしっかりと食べます。毎食、料理の写真を撮影する隊員の姿も。

    昼食
  6. 12:45

    打ち合わせ

    作業リーダーが集まって打ち合わせ。作業の進捗に合わせて、今後の作業内容や人員の割り振りについて話し合います。

    打ち合わせ
  7. 13:00

    午後の作業開始

    日差しが強くなり、午前中より気温も高くなります。一心不乱に作業している間に暑くなってきたのか、Tシャツ1枚になる隊員の姿も。

    午後の作業開始
  8. 15:00

    休憩

    再び中間食と水分補給。エネルギー&水分補給は頻繁に。

    休憩
  9. 17:00

    作業終了

    1日の作業終了。日本だとこの季節・この時間帯は薄暗くなっていますが、南極は白夜。空はまだまだ昼間のように明るいので、「夜」が近い実感はありません。

    作業終了
  10. 19:00

    夕食&ミーティング

    基地に戻って夕食後、明日のミーティングを行います。人員や機材をどのように配置するか、さまざまな可能性を想定しながら打合せを行います。突発的なブリザードに見舞われるなど、どのような事態が発生するか分からない南極では、あらゆる可能性を想定し備えることが不可欠です。

    夕食&ミーティング
  11. 20:00

    自由時間

    ミーティング後は自由時間。お酒を飲んでくつろぐ隊員も多く見かけます。23:00までの間に、隊員たちは順番にお風呂をすませます。風呂場は大浴場ではなく、一度に4人くらいが限度の小さな浴場。南極では水も大切な資源なので、無駄使いは厳禁。入浴時に洗濯も一緒にすませます。

    自由時間
  12. 22:00

    報告メールの作成

    飛島建設の社員は現場の管理者なので、作業状況の報告も大切な業務の一つ。隊員全員が今日はどこでどのような作業を行ったのか正確に把握し、作業の進捗を日本にメールで報告します。

    報告メールの作成
  13. 23:00

    就寝

    白夜なので夜中でも太陽が出ていますが、カーテンを閉めれば意外と慣れてしまうもの。十分に睡眠をとって、明日の作業に備えます。

    就寝
これまでの実績

これまでの実績

プロジェクトメンバー
からのメッセージ

  • 64次隊槇田 英剛


    建築職員

    南極地域観測隊に興味はあるけれども、自分が参加することは無いだろう。と思いながら施工管理を続けて22年。64次隊で参加することが出来ました。
    飛島建設から派遣された技術者は、観測隊の中で「現場監督」という役割を与えられます。その業務は国内では作業・工程計画に資機材の調達、道中には建設作業の安全をテーマに講師、昭和基地では設営作業における人員配置・作業指示・安全管理等、普段の国内の作業所で行っている施工管理業務とあまり変わりありません。
    しかし、実際に作業を行う方々は研究者・機械メーカーの技術者・医師・料理人・自衛官とこれまで建設工事に関わりが無かった方々です。こういった方々の共同作業を、安全に効率よく進めることが求められます。
    飛島建設が初めて南極地域観測隊に参加してから30年が経とうとしています。南極地域観測隊では、普段の生活では絶対に出来ない貴重な体験を数多くすることが出来ます。
    今後も観測隊に参加することで、多くの人に貴重な体験してもらいたいと思います。 普段の生活とかけ離れた自然環境、異業種の人たちとの共同作業。そういったものに興味があれば「宇宙よりも遠い場所」へ技術者として行ってみませんか。

  • 62、63次隊後藤 猛


    建築職員

    日本から14,000キロ、日本の約37倍の大きな大陸。今も大部分が氷に覆われた、南の最果ての地。昨今、環境問題が顕著化される中、この地の活動で、環境変動を紐解く活動が行われています。
    飛島建設の技術者はこの活動をサポートするべく、南極観測隊の設営チームの一員として参加し、基地施設の維持管理や更新作業を主としてまとめ上げます。南極観測隊は色々な職業の人達と協力して、数あるミッションを行なっていく国家事業です。南極での自然環境は、時には厳しく、時には美しく、白夜、ブリザードなどを経験したり、氷山、ペンギン、アザラシなど見慣れないものを目にしたりと、貴重な体験をする事ができます。
    62次行動ではコロナウィルスの影響で、日程を通して無補給での活動となり、例年とは違うものとなりました。その関係で、昭和基地での活動は例年より短い期間だったものの、天候に恵まれたこともあり、計画されたミッションは完了することができました。
    私は南極観測隊に57・58・62・63次と参加し、それぞれの隊ごとに色々な体験や、同じ時を刻んだ隊員達とのつながりを持つことができ、人生においての貴重な財産となりました。みなさんと、この経験を共有できたら嬉しいです。是非チャレンジしてみて下さい。

  • 61次隊壽松木 一哉


    建築職員

    視界に入る世界は水平線の先まで果てしなく続く氷河、真夜中でも沈まぬ太陽、5メートル先に見えるペンギン。そんな世界で皆さんも仕事をしてみませんか。
    私たち飛島建設は第36次南極地域観測隊から四半世紀続けて、昭和基地での設営作業を指揮する立場として、南極で建物の建設や更新等の役割を担ってきました。研究者、医師、料理人、自衛官と様々な人と人とを結び繋げていくのが私たちの任務です。
    私は61次南極地域観測隊として、基地設営の取りまとめ役として参加しました。今回は建築工事の主な作業として気象棟の解体と基本観測棟放球デッキの建設を行いました。
    昭和基地での仕事で得た経験は大きな糧となり、かけがえのない財産となりました。
    世界の科学技術に大きく寄与している南極地域観測活動に参加し、貢献できるのは私たち飛島建設の一員だからこそです。みなさん、是非チャレンジしてみてください。

  • 60次隊馬場 潤


    建築職員

    60次に参加しました。建築工事の主な作業は、①風力発電装置3号機建設(59次にて物資輸送・基礎構築)、②第二車庫兼ヘリ格納庫風下ヘリパッド建設、③重力計室・自然エネルギー棟の屋根防水改修等々です。
    国内の現場では、各専門業者・職方が一つの建物を造る事を前提に集まってきます。南極地域観測隊は、各観測部門・設営部門(医療・調理・車両・環境保全・建築・電気・設備等)・海上自衛隊、各々の観測・作業を予定しています。我々飛島は、南極の現場監督として、これらの作業の調整を行い、設営建築部門の作業を完了させます。
    我々飛島は、これまでに培った先輩たちの経験を自分だけで終らせず、今後の南極観測事業に参加する技術者に引き継ぐ責任もあります。
    各分野で活躍される研究者の方々や、国内メーカー等が参加する国家プロジェクトの技術者の一員になれたことは誇りになりました。
    昭和基地では、国内同様にSNS等(容量については自粛が必要)も使え、家族との連絡も普通に行えます。又近年は女性隊員も多く参加されています。
    今後は、古くなった建物の建て替えや新たなプロジェクトの為の施設等多数計画があります。
    皆さんも建設技術者として、南極観測事業に参加してみませんか。

  • 59次隊近藤 一海


    建築職員

    59次南極地域観測隊に参加をしました。私の任務は昭和基地での設営であり、基本観測棟の新築工事が主な内容でした。
    なぜ飛島建設の現場監督を20年以上に渡り隊員として派遣しているのかという事が、設営作業を進めるとすぐに実感できました。飛島建設で当たり前のように行っている現場監督としての業務が、南極では大変さはありましたが、非常に重要とされます。
    昭和基地の周囲には今まで見たことのない自然のペンギン、アザラシ、クジラなどの動物や白夜で沈まない太陽、グリーンフラッシュ、オーロラなどの自然現象が見られます。それらは実際に自分の目で見ると想像をはるかに超えるものでした。日本を出発して4ヵ月でしたが、1日1日の各場面が今でも鮮明に記憶に残る貴重な体験の日々です。これからも飛島建設のたくさんの監督が隊員派遣をつなげていってほしいです。
    ※グリーンフラッシュとは、太陽が完全に沈む直前、または昇った直後に、緑色の光が一瞬輝いたようにまたたき、太陽の上の弧が赤色でなく緑色に見える稀な現象。

  • 36次隊和泉澤 統一


    建築職員

    1994年に36歳で私が飛島建設の社員で初めて南極観測隊に参加して20年以上たち、現在に至るまで多くの隊員が、居住棟や各観測棟、倉庫、通路、道路などなどの建設に携わってきました。これまで継続して飛島建設が隊員の派遣を求められ続けているのはなぜでしょうか?
    もちろん建設のプロですから、隊長や他の隊員も知らないビル建設や処理施設の構築方法は身に付いています。しかし一番評価されているのは、南極の夏の建設作業が60日程度と短い中で、学者・医者・調理人・海上自衛隊員など建設労働をしたことがない人の手で進められる膨大な作業を、工程・資材・機材・人員の確保や作業指示、細かい納まりまで含め、一貫して取り仕切る能力です。あなたも飛島建設の職員だから行ける南極へ、誇り高い技術者として行ってみませんか。