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山岳トンネルにおけるコンクリート吹付け作業の施工性改善を実証

改良型Smart Lining System™の実物大トンネル実験により材料使用量低減効果を確認

 飛島建設株式会社(東京都港区:代表取締役社長 築地 功)、株式会社エム・シー・エス(山梨県韮崎市:代表取締役社長 河西哲夫)、株式会社すばる建設(埼玉県三郷市:代表取締役社長 稲村隆浩)、岐阜工業株式会社(岐阜県瑞穂市:代表取締役 宗像国義)、アキレス株式会社(東京都新宿区:代表取締役社長 日景一郎)、およびクラレプラスチックス株式会社(大阪市北区:代表取締役社長 柳井久道)は、山岳トンネル工事における施工サイクルタイムの短縮、生産性の向上、坑内作業環境の改善、材料ロスの低減を目的に開発した「Smart Lining System™」について、はね返りや粉じんが極めて少なく、しかも従来方式よりも施工サイクルタイムを短縮できるトンネル支保工構築工法の確立・実用化を目指し、専用型枠のコンクリート漏れ防止機能を改良するとともに、新たに圧力制御による型枠設置機能を導入した新方式を開発しました(図1)。

 新方式の有効性を検証するため、大断面山岳トンネルを模擬した実物大試験体を製作し、上半支保工の施工を想定した試験施工を実施しました。その結果、実施工環境においてもトンネルでの連続施工が可能であることが確認でき、また、はね返りがほとんどなく、低粉じんで良好な仕上がり品質を確保できることを実証しました。さらに、施工サイクルタイム短縮の実現可能性についても確認することができました。

施工概念
図1 Smart Lining System™によるコンクリート支保工の施工概念

 新方式の有効性を実証する為、大断面山岳トンネル工事(幅13.6m、3心円)の上半支保工施工を想定した実物大トンネルを制作し、試験施工を行いました(写真1、2)。
(※試験施工時のコンクリート配合を表1に示します。)

 試験施工の結果、以下の事項を確認することができました。

・天端部を除く範囲に新方式を適用した結果、1~6段目まで型枠吹込み方式によるコンクリート支保工(以下、吹込みコンクリートと呼ぶ)を構築できた。
・左右1~3段目の連続施工試験では、ノズル一つ、専用型枠左右二つを使用し、型枠セット、吹き込み、養生・脱枠の一連の作業を左右交互に実施可能であった。
・左右1~3段目の施工時間は24分で、コンクリート使用量は2.1m3。であった。同一施工範囲における従来方式の試算値(施工時間27分、コンクリート使用量4.7m³)との比較により、施工サイクルの短縮と、コンクリート使用量の55%低減が確認できた。
・吹込みコンクリートの仕上がり面は専用型枠設置を圧力制御管理した場合の方が、凹凸が小さく、平坦性に優れている(写真3、図2)。なお、圧力制御管理の有無により型枠セット時間に差異は認められなかった。
・連続施工したコンクリート支保工の圧縮強度は平均37.0N/mm2であり、呼び強度36N/mm2を上回った。一方で、打継部の圧縮強度は21~33N/mm2、平均26N/mm2となり、呼び強度を下回った。
 なお、打継部の圧縮強度は施工上の特性であるため、今後は打継部の処理や解析的な検討により支保構造としての安全性の検証を行う予定です。

実物大
写真1 実物大トンネル実験の状況
施工手順
写真2 実物大トンネル実験における施工手順
3心円
図2 3心円の上半支保工での専用型枠設置計画と施工詳細図
表1 試験施工時のコンクリート配合 コンクリート配合
遅延剤は吹込みコンクリートの充填性保持のために添加する。
表中の赤字は遅延剤溶解水を考慮した数値を示す。
出来形
写真3 吹込みコンクリート支保工の出来形状況
形状比較
図3 吹込みコンクリートの仕上がり面の形状比較

 新方式を実物大トンネル上半部の吹付けコンクリート工に適用した場合を想定し、施工サイクルタイムおよび材料使用量等についての試算を実施しました。
 試算では従来方式と、天端部と根足部については従来方式で施工し、それ以外の範囲を新方式で施工する場合(以下、ハイブリッド方式と呼ぶ)を比較しました。(図4)。
 その結果、使用材料であるコンクリートの使用量については、従来方式では11.5m3を要するのに対し、ハイブリッド方式では7.9m3となり、約30%低減できる試算結果となりました。
 また、上半部一掘進長の施工サイクルタイムでは、従来方式が108分を必要とするのに対し、ハイブリッド方式では104分となる、わずかではあるものの施工サイクルタイムを短縮できる結果となりました(図5)。
 以上の結果により、実物大試験結果に基づく試算結果においては、ハイブリッド方式は従来方式と比較して、コンクリート使用量の低減が期待できることが確認でき、また施工サイクルタイム短縮の実現可能性についても確認することができました。

ハイブリッド
図4 従来方式とハイブリッド方式の施工手順の対比
※便宜上対比するため、左半分に従来方式、右半分にハイブリット方式を表示

 新方式の試験適用の結果、従来方式とそん色のない良好な仕上がり品質を確保しつつ、コンクリート使用量の低減が期待できることが確認でき、また施工サイクルタイム短縮の実現可能性についても確認することができました。
 今後は、切羽側の妻板を低コストで繰り返し使用できる新構造に改良した上で、稼働中のトンネル工事における支保工構築へ試験適用し、施工サイクルタイムの短縮効果やコンクリート使用量の低減効果を定量的に検証することで、新方式の優位性を確認していく予定です。  
 新方式実用化の推進により、山岳トンネル工事におけるコンクリート支保工構築作業の施工性向上、自動化の推進、並びに環境負荷低減への貢献してまいります。

飛島ホールディングス株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 (飛島建設 広報担当)
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