NEWS RELEASE
ニュースリリース

飛島建設株式会社(社長:築地 功)は、株式会社北斗工業(社長:山口 次郎)、有限会社山陽ウエス商会(社長:西村 庸之)と共同で、整備新幹線のトンネル路盤鉄筋コンクリート打設における安全性向上および省人化による生産性向上を実現する「路鉄用ディストリビュータ打設システム」を開発しました。
整備新幹線のトンネル工事では覆工施工後に路盤鉄筋コンクリートおよび突起コンクリートを施工します。このうち路盤鉄筋コンクリートの施工では、中央通路両側に幅約3m・スパン長20mの縦長のRC構造物を連続して構築します。
路盤鉄筋コンクリートの打設ではクレーン用途のバックホウと0.3m3バケットによる離散的な運搬・打設が一般的であり、打設箇所へのコンクリートの運搬や投入に関する作業が手作業となるため多くの人手が必要でした。また、打設時に作業員がバックホウやバケットとの近接作業を強いられるため、安全面での課題もありました。
このような課題の解決を目的として、路盤鉄筋コンクリート用ディストリビュータによるポンプ打設システム「路鉄用ディストリビュータ打設システム」(写真-1および図-1参照)を開発し、北海道新幹線のトンネル工事に適用しました。本システムでは、クレーン用途のバックホウやバケットとの作業員の近接作業を排除することで、安全性が向上します。また、打設範囲へのコンクリートの運搬や締固め作業の機械化・遠隔制御化により省人化が可能です。なお、ポンプによる連続打設となるため、コールドジョイントの発生抑制など品質確保にも寄与します。
![]() 図-1 路鉄用ディストリビュータ打設システムの概要 |
「路鉄用ディストリビュータ打設システム」は、①路鉄用ディストリビュータ、②コンクリートポンプ、③発電機、ならびに、④牽引車から構成されます。
① 路鉄用ディストリビュータ
狭い坑内において広範囲にコンクリートが打設できるよう二つ折れ構造となっており、ブームは無線式リモコンで遠隔制御できます(打設可能範囲は半径13mです)。また、シュート部にバイブレータ(無線制御)も併せて備えており、締固め作業において補助作業員が不要となります。
② コンクリートポンプ
クレーン用途のバックホウやバケットによる打込作業に替えて、アジテータ車から投入されたコンクリートを路鉄用ディストリビュータにポンプ圧送することで、連続打設を可能とします。
③ 発電機
コンクリートポンプやディストリビュータの電源に加え、バイブレータや照明機器など設備の電源を供給します。
④ 牽引車
全長15mの本システムを、インバート部の凹部である中央通路内で牽引移動します。
飛島建設にて施工中の「北海道新幹線、ニセコトンネル他」工区の施工に路鉄用ディストリビュータ打設システムを適用しました。(表-1参照)
本工事における路盤鉄筋コンクリート打設の施工延長は2,250mです。
路盤鉄筋コンクリートの施工におけるコンクリート(配合:27-8-20-N)の供給は、生コン車(4m3)で搬入し、200m毎に回転場を設けて打設箇所まで搬入しました。
本工事における曲線部の月進は最大で405m、平均で302mであり、一般的に採用されているクレーン用途バックホウによるホッパー打設以上の施工速度を確保しました。また、路盤鉄筋コンクリートの編成人数については、作業人員は型枠・鉄筋・打設を兼任できる作業員10名の構成であり、一般的な作業人員と比べて半分以下での省人化施工が可能でした。(図-2参照)
表-1 工事概要
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以上のように、路鉄用ディストリビュータ打設システムを適用することで、安全性と生産性が大幅に向上することを確認しました。現在、飛島建設で施工中の「北海道新幹線、立岩トンネル(豊津)他」工区にも採用して施工を進めています。
今後、ディストリビュータ本体構造のコンパクト化、ブーム稼働範囲の最適な縮小化、ならびに自動運転化等の改良を計画しています。整備新幹線におけるトンネル工事の路盤鉄筋コンクリートの標準工法となることを視野に入れて、更なる安全性向上と打設作業の省力化・省人化を図っていきたいと考えています。
飛島建設株式会社 管理本部 広報部
TEL: 03-6455-8312
飛島建設株式会社 土木本部 土木技術部
TEL: 03-6455-8327