NEWS RELEASE
ニュースリリース

　飛島建設株式会社（本社：東京都港区、代表取締役社長：乘京 正弘、以下飛島）は、沖電気工業株式会社（本社：東京都港区、代表取締役社長：鎌上 信也、以下OKI）が開発した複数のカメラ画像およびレーザー距離センサにより人物と物体の認識とその動きをリアルタイムに可視化し把握する技術を応用して、建設工事における危険エリアへの侵入や作業員と建設重機との接触を警告・防止する、“現場監視サポートシステム”を共同で開発に着手し、東北地方整備局 宮古盛岡横断道路 岩井地区トンネル工事において実証実験を行いました。

　近年建設工事において、労働時間短縮や生産性向上が喫緊の課題となっている中、施工管理にも積極的にICT/IoTが活用されるようになり、各種センサを使用した管理の自動化・定量化も進んできています。しかしながら、依然として“人の眼”による管理・監視を重要とする作業が多いことが現状です。
　今回開発する“現場監視サポートシステム”では、“機械の眼”により施工管理の自動化を行い、“人の眼”をサポートすることで、たとえばトンネル坑内のような暗く狭隘な環境下においても、より信頼性の高い安全監視が実現できます。

　建設工事の作業現場では、作業エリアの中で複数の重機、作業員が同時に作業する場面が発生します。また、重機オペレーターにとっては側方、後方とも死角が多く目視による安全確認が十分にできないことから、接触・挟まれによる事故の危険性が高くなっています。
　通常は重機稼働範囲にバリケードを設置し、人と重機との作業エリアを分離して安全確保を図っています。ただこれまでの災害統計では、重機が掘削・整地等の本来の作業を行っている時よりも移動、段取り替え等の時に事故が発生することが多いことから、人と重機等の接触事故を防止するためにはバリケードに加え、安全監視員を配置して危険エリアへの人の立入を排除する措置を講じることが必要となっています。
　特にトンネル等、狭い場所での作業の場合、人と重機の作業エリアの分離が難しいことや、複数の重機が輻輳したり、大型重機が障害物となって死角が生じるため、安全監視員を配置しても作業エリア全体の状況を把握することは難しいのが実状です。

　映像認識による「現場監視サポートシステム（図-1参照）」では、監視エリア内に複数台のカメラとレーザー距離センサを配置し顔認識、物体認識、動体認識を行う画像センシング技術を用いて人と重機を識別します。
　複数台のカメラ画像とレーザー距離センサのデータを同期・解析し、撮影エリア全域を俯瞰マップに表現し、その上に人と重機の動きをリアルタイムに表示するものです。
これにより、以下の項目を実現します。

　今回は、トンネル工事における安全管理に着目したシステム開発を実施していますが、今後、土工事（造成工事）、橋梁、ダム等の土木工事、および建築工事等、トンネル以外の建設現場への展開と、映像データが持つ特長（連続的・リアルタイム）を活かした品質・工程管理への応用を進めていきます。さらに、映像および映像に基づく人・機械の動線といったビッグデータにAI（深層学習）を導入し、建設機械の識別による施工サイクルの自動判定や、人や建設機械の位置、行動パターンの分析評価によって、作業の効率化・品質の向上・危険性排除を進めます。
　飛島とOKIは、今後も広範な建設現場での検証実験を進め、本システムの信頼性の向上を図るとともに、建設現場の「安全性向上」、「生産性の向上」を目指した統合システムとして進化させていきます。

・飛島建設株式会社　企画本部　広報室
　松尾 和昌　TEL：03-6455-8312

・沖電気工業株式会社　経営企画本部　広報部　
　山本一夫　TEL: 03-3501-3835

・飛島建設株式会社　技術研究所　研究開発グループ　第一研究室
　松元和伸、松田浩朗　　TEL:04-7198-7572