NEWS RELEASE
ニュースリリース

飛島建設株式会社のグループ会社である株式会社E&CS(東京都港区:社長 三門克彰)は、飛島建設株式会社・住友大阪セメント株式会社共同で開発した、-15℃まで施工可能なセメフォースアンカーの防凍専用水の注文受付を2021年1月4日から開始致します。
超速硬系セメントを主剤としたセメフォースアンカーに防凍専用水を使用することで最低気温-15℃まで採暖不要で使用可能になります。そのため、今まで施工現場で冬期施工時に行っていた採暖養生が不要となり、工期の短縮やコストダウンが期待できます。
近年、あと施工アンカー用のアンカー材として、長期耐久性や耐火性の問題等から、無機系アンカー材の適用が広まっています。しかしながら、無機系アンカー材はセメントを主成分としていることから、冬期の施工において無機系アンカー材を用いた場合は凍害の懸念がありました。これにより工期の長期化や採暖養生等の対策が必要でした。
今回販売開始する『セメフォースアンカー用防凍専用水』を用いることで、最低気温-15℃まで初期凍害を受けずに施工が可能となり、上記の工程や採暖養生における問題点を解決することができます。
写真2 施工手順
・最低気温-15℃まで採暖養生が不要です。
・環境性能が高くVOC(揮発性有機化合物)の発生がありません。
・湿潤面、水中でも施工が可能で、安定した付着力を発揮します。
・コンクリートと同等の耐火性能があります。
・横向き・上向き施工が容易で、粘度が高いため、たれ落ちしない材料です。
日平均気温 -10℃(最低環境温度-15℃)
施工時最高環境温度 15℃
次工程(施工確認試験)までの期間:日平均気温-5℃以上で3日間
-5℃未満-10℃以上で7日間
防凍専用水を使用したセメフォースアンカーは、-10℃一定の環境下であっても、圧縮強度35~40N/mm2(材齢4週)程度、発現します(図1参照)。そのため、氷点下でも安定したあと施工アンカーの付着強度が確保できます(図2参照)。
2019年2月~3月にかけて北海道室蘭市で付着試験を実施致しました。あと施工アンカーを定着した日は、2月6日(定着日A)と2月8日(定着日B)の2日間行いました。定着時の環境温度は、定着日Aで-4℃、定着日Bで-12℃でした。付着試験は、材齢1日、7日、28日としました。また、試験期間中の最低気温は-15℃を記録しています(図3参照)。なお、試験期間中は採暖養生をしていないため、通常のセメント系材料であれば凍害を受ける可能性が極めて高い条件で実験を実施しました(写真3参照)。
図4に防凍専用水を使用したセメフォースアンカーの圧縮強度の推移を示します。定着日Aの圧縮強度(図中のCFW-Aに該当)は、材齢1日で16.8N/mm2の強度を発現し、材齢28日では32.5N/mm2まで上昇しています。また、定着日Bの圧縮強度(図中のCFW-Bに該当)は、材齢1日では効果が見られませんでしたが、材齢28日では34.1N/mm2まで上昇しています。
定着日Aの付着強度は、材齢1日で設計強度を満足する結果となり、材齢28日には、設計強度の1.77倍まで付着強度が増進しています。定着日Bでは、環境温度-13℃程度を推移していたため、材齢1日の付着強度は2.6N/mm2と小さい値であるものの、材齢28日では、設計強度の1.83倍まで強度増進しています。これらから、最低気温-15℃を記録しても、初期凍害を受けずに安定した付着強度を確保することが実証されました。
注文受付を2021年1月4日より開始し、採暖不要で使用可能な特徴を活かして、北海道、東北地方等の寒冷地や凍害が懸念される場合における土木・建築工事での採用を目指し営業展開していきます。また、水に強いという従来のセメフォースアンカーの利点を生かし、堤防かさ上げ工事、橋梁やトンネルの改修工事等の湿潤環境下における工事での採用も目指して参ります。
売上げ目標は、2年後1億円、最終年間10億円を目指して展開してまいります。
株式会社E&CS 三門
〒108-0075 東京都港区港南1-8-15 Wビル5F
℡ 03-6455-8430
住友大阪セメント株式会社 兼吉
〒530-0004 大阪府大阪市北区堂島浜1-4-4
℡ 06-6342-7704
E-mail : tkaneyoshi@soc.co.jp
飛島建設株式会社 阿部
〒108-0075 東京都港区港南1-8-15 Wビル5F
℡ 03-6455-8358
E-mail : takahide_abe@tobishima.co.jp