飛島建設

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リアルタイム音響可視化システム「OTOMIRU」を開発

― 音の可視化結果を実空間上に投影 ―

 飛島建設株式会社(社長:乘京 正弘)は、早稲田大学基幹理工学部表現工学科・株式会社INSPIREIの及川靖広教授と共同で、音の計測結果を実空間上にリアルタイムで投影する音響可視化システム「OTOMIRU」を開発しました。
 従来の音の可視化技術では、計測結果がディスプレイ上で平面的に表示されるため、計測断面の位置情報が把握しにくいという課題がありました。そこで本システムでは光学透過型ヘッドマウントディスプレイ(以下、OST-HMD)を介して、音の情報をカラーマップとして実空間上に重ね合わせることにより、奥行方向の計測位置が把握しやすい形で音を可視化することができます(写真‐1)。

OTOMIRUによる音の可視化

写真‐1 OTOMIRUによる音の可視化
システムロゴ

図‐1 システムロゴ

 本システムでは16個のマイクロホン(マイクロホンアレイ)で収録した音を処理して任意断面の音圧レベル分布を算出し、算出結果をOST-HMDにネットワーク上で転送することによって、実空間上に音圧レベルのカラーマップを投影します(図‐2)。

システム構成

図‐2 システム構成

● リアルタイムに音を可視化
 本システムでは音の可視化手法であるビームフォーミング*1 により、任意断面の音圧レベル分布を算出しています。ビームフォーミングでは音圧レベル分布がリアルタイムで出力されるため、突発的に発生する音源も可視化することができます。
*1 ビームフォーミング:
 マイクロホンアレイ(複数の無指向性マイクロホンを平面上に配置したもの)を用い、任意断面の音圧レベル分布を算出する手法。ある方向からの音が各マイクロホンに到達するときの時間差を求め、それぞれで収録した信号に遅延などの処理を行うことにより、特定の方向における音圧レベルを求めることができる。これにより、計測断面の各計算メッシュの音圧レベルを算出する。


● 複数人での計測結果の共有
 OST-HMDは複数台同時に接続可能となっており、マイクロホンアレイに設置したARマーカーを基準点として複数台のOST-HMDで同じ計測結果を見ることができます。これにより、複数人でリアルタイムに計測結果を共有することができ、音の評価や対策を円滑に進めることができます。


● 自由な場所での音の評価
 実空間上に投影された音圧レベル分布のカラーマップは、ユーザーが移動しても元の位置に固定され続けるため、自由な場所で音を評価することができます。発生している音を様々な箇所で聴きながらカラーマップを確認することで、視覚と聴覚により音場情報を確認することができます。


● ハンズフリー計測
 計測の開始・停止、測定パラメータ変更などの操作はOST-HMDを通して表示されるホログラムの設定パネルによって行うことができます(写真‐2)。PCなどによって操作する必要がないため、ハンドリングが良い計測を可能とし、計測しながら対策工を行うことができます。


ホログラムによる操作・設定変更

写真‐2 ホログラムによる操作・設定変更

 本システムの適用例を以下に示します。
・建築物における遮音欠損部の探査
・建築空間の音響状態の調査
・複数の重機が稼働する建設工事現場での騒音源探査
・騒音発生施設の漏音部位の探査
・騒音対策効果の検証
 これまで音場情報の詳細な計測・評価を行うには、多大な時間や労力を要していましたが、本システムではマイクロホンアレイを設置するだけで音の分布が可視化できるため、計測の効率化・省力化につながります。また音の物理的な評価と視覚による評価を同時に行うことができ、より迅速な対策立案と効果の検証が可能となります。

建設現場での可視化例 建設現場での可視化例
写真‐3 建設現場での可視化例
(可視化後:ラフテレーンクレーンのエンジン音が主要な音源であることを確認できる)

 今後は建設工事現場での騒音調査・対策検討や建築物内部での音響設計で試験運用を重ね、システムの性能を向上させていく予定です。
 本システムをベースとして、3次元的な音の情報(音の伝搬状況)をリアルタイムに計測し、実空間に投影する技術の開発を進めていきます。

 飛島建設株式会社 企画本部 広報室
 嶌田 陽一 TEL: 03-6455-8312、FAX:03-6455-8460

 飛島建設株式会社 技術研究所第二研究室
 小林 真人、岩根 康之、佐藤 考浩 TEL:04-7198-7553、FAX:04-7198-7586