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散布型コンクリート凝結促進工法「T-CROW」の開発

-寒冷期のコンクリートの上面仕上げ作業の効率化技術-

 飛島建設株式会社(東京都港区:社長 乗京正弘)は、寒冷期におけるコンクリート工事の施工時間短縮を目的として、コンクリートの凝結を促進する混和材を散布・撹拌することで、コンクリートの上面仕上げ作業着手までの待機時間を2~4時間短縮する「散布型コンクリート凝結促進工法T-CROW(Transform into Concrete to Reduce Overtime for Workers)」(図1)を開発し、一般財団法人日本建築センターの評定を取得しました。

t-crow概要

図1 T-CROW工法の概要

 コンクリート工事の作業の一つ、上面の仕上げ作業では、コンクリートの打込み終了後、仕上げ作業を実施するのに適した硬さになるまで待機しなければなりませんが、低温の環境下では、コンクリートの凝結進行が遅くなるため、待機時間が長くなり、長時間労働の要因になります。
 凝結の遅延を解消するために、耐寒促進剤や、硬化促進剤等の混和材料が利用される場合もありますが、コンクリートの配合設計を実施し、試験練りによって品質を確認しなければならないので、適用までのプロセスが煩雑になることや、混和材料の添加により単価が上がるなどの課題があります。
 そこで、①打込んだコンクリートに凝結促進剤を散布・撹拌する手法を用いることにより、凝結促進剤を適用したコンクリートの配合設計を必要とせず(現場のみでの運用が可能)、かつ②コンクリートの表層のみに凝結促進剤を適用することにより、凝結促進剤の使用量を抑え、低コストでの運用が可能となる「T-CROW工法」を開発しました。

 T-CROW工法は、カルシウムアルミネートを主成分とした粉体の凝結促進剤を1m2あたり標準量として200g(上限は400g)散布し、専用の撹拌機を用いてコンクリートの表層30mmに練り混ぜることで、コンクリートの上面仕上げまでの待機時間を2~4時間短縮させます(写真1)。
 凝結促進剤の散布は、粉体を極力均一に散布が可能で、吐出量が調整できる市販の散布機を利用しています。また、撹拌機は、コンクリートの表層のみを撹拌できる専用のものを開発しました。この撹拌機の羽根はX型で配置されおり、羽根自体が撹拌を行う面に対して一定の角度がついているため、コンクリート表層を一様に撹拌することができます。さらに、撹拌治具の後ろ側にはガイド板がついており、撹拌深さを一定にする役割と撹拌後のコンクリートを平らにする役割を担っています(写真2)。
 凝結促進剤の撹拌は、撹拌機の回転速度を1分間に300回転以上とし、1mを20秒の進行速度で行っていきます。

凝結

写真1 凝結促進剤撹拌状況

撹拌機1
撹拌機2

写真2 T-CROW工法の専用撹拌機

 T-CROW工法による仕上げ作業開始までの待機時間短縮効果を検証した実験結果を図2に示します。この実験は、普通コンクリートの呼び強度の範囲である、呼び強度21、呼び強度30、呼び強度45の3水準とし、実験を実施した環境の温度を10℃とした時の結果となります。
 実験の結果から、凝結促進剤の標準散布量である1m2あたり200gから上限の散布量である400gの間の散布量で、仕上げ作業開始までの待機時間を2~4時間短縮する効果があることを確認しました。

散布量

※このグラフは凝結促進剤の散布量と待機時間の短縮効果の傾向を把握するため、散布量上限よりも多く散布した場合の条件でも実験を行っております。

図2 T-CROW工法による仕上げ作業開始までの待機時間短縮効果

 今後は自社の建築・土木の現場で、コンクリートの上面仕上げ作業が必要な工事にT-CROW工法を適用し、生産性向上の一助となる様に努めて参ります。

飛島建設株式会社 企画本部 広報室 TEL: 03-6455-8312

飛島建設株式会社 技術研究所 折田 現太 TEL: 04-7198-1101