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建設振動対策技術防振堤の開発と実用化

- 伝播経路に設置するだけで振動を大幅に低減 -

2020年3月25日

はじめに

 飛島建設株式会社(代表取締役社長:乘京 正弘)は、埼玉大学大学院理工学研究科の松本泰尚教授と協働し、建設工事で発生する振動を地表面に設置するだけで低減することが可能な伝播経路対策“防振堤”を開発しました。
 振動の対策技術は発生源対策、伝播経路対策、受振部対策の3つに分類されます。建設工事では受振部対策はあまり一般的ではなく、低振動型の機械や低振動の工法を採用したり、防振マットなどを敷設して地盤への振動伝達を低減したりする発生源対策の採用が検討されます。 発生源対策の採用が困難な場合や、その効果が十分でない場合などは、伝播経路対策が検討されます。 伝播経路対策としては空溝や防振壁が代表的で、これまでに、その効果が複数報告されています。しかし、空溝や防振壁の振動低減効果は、その深さに依存するため、対策が大規模化しやすく、安全面や費用対効果に課題があり、特に建設振動対策としては実用性に乏しいという問題があります。 今回開発した防振堤は現場にある汎用的な資機材で製作が可能で、地表面に設置するだけで振動を低減することができます。従来の建設振動対策技術に比べ、安全、安価で効果的な伝播経路対策を実現しました。

図‐1 振動対策技術の分類と防振堤の位置づけ

図‐1 振動対策技術の分類と防振堤の位置づけ

防振堤の概要

 防振堤は敷鉄板または厚さ20cm程度のコンクリート板の上に、大型土のうを複数設置する大変シンプルな構造です。写真‐1に示すように、地表面と接する部分の敷鉄板が剛性を確保し、その上に大型土のうを積層することで質量を確保しています。 敷鉄板や大型土のうは建設現場では汎用的な資材であり、重機は中型のバックホウがあれば施工可能です。防振壁などに比べると、大幅なコストダウンが可能であり、また空溝のような維持管理における安全上の問題もありません。

写真‐1 防振堤の設置例

写真‐1 防振堤の設置例

防振堤の振動低減メカニズムの概要

 図‐2は防振堤を設置した際の周辺地盤の加速度応答の数値解析結果を示しています。ここで、a)は防振堤の構成を大型土のうのみとした場合を想定しており、防振堤のパラメータに表層地盤と同じ物性を持つソリッド要素を設定しています。 b)の防振堤は大型土のうの下に敷鉄板を敷設した場合を想定しており、a)のソリッド要素の下面に厚さ22mmの鋼板を想定したシェル要素を設定しています。加振条件はa)とb)で同じです。
 2つの解析結果を比較すると、a)ではb)に比べ防振堤による振動低減効果が小さく、防振堤が地盤と同様に変位している様子が確認できます。 一方b)では、加速度応答はa)に比べ小さく、特に防振堤の背面で振動を大幅に低減していることが分かります。このように、防振堤は剛性の高い下層部分と質量を付与する上層部分が一体となって挙動し、地表面の変位を拘束することで、特にその背面の振動を効果的に低減する技術です。

a)大型土のうのみを想定したモデル

a)大型土のうのみを想定したモデル

b)大型土のうと敷鉄板を想定したモデル

b)大型土のうと敷鉄板を想定したモデル

図‐2 防振堤を設置した際の周辺地盤の加速度応答の数値解析結果

防振堤による振動低減効果の現場検証

 防振堤の実用化に向け、稼働中の施工現場において、実物大実験を実施して振動低減効果を検証しました。
防振堤は連結金具で接続した2枚の敷鉄板(1,524mm×6,096 mm、t=22mm)の上に、質量約1 tの大型土のうを24袋(3×4列×2段)設置した構成としました。 加振方法は、起振器による掃引加振、重機の低速走行および高速走行による加振の3通りとしました(写真‐2)。現場検証の配置を図‐3に示します。 防振堤の位置は加振位置の中央から6 m地点とし、その背面を振動の低減対象範囲としました。 加振位置の測定点(PU1)(PU:pick up)とその他の測定点(PU2~PU6)の加速度の比を取って伝達関数とし、この伝達関数が防振堤を設置することでどのくらい低減するかを検証しました。
 図‐4に振動低減対象範囲であるPU4、PU5、PU6の加振力ごとの伝達関数の低減量を示します。いずれの測定点でも防振堤による振動低減効果が確認されました。 特に、およそ15~20Hzの振動数では、低減量は10dB程度と大きく、防振堤による振動対策の有効性が確認されました。

重機走行加振(低速走行、高速走行)

重機走行加振(低速走行、高速走行)

起振器加振

起振器加振

写真‐2 現場検証の状況

図‐3 現場検証の配置

図‐3 現場検証の配置

  • PU4(防振堤の中心から4.0m)
    PU5(防振堤の中心から4.0m)
  • PU5(防振堤の中心から8.0m)
    PU5(防振堤の中心から8.0m)
  • PU6(防振堤の中心から12.0m)
    PU6(防振堤の中心から12.0m)

図‐4 加振力ごとの伝達関数の低減量

おわりに

 防振堤の振動低減効果を数値解析や実物大実験で確認しました。現在、特許出願の手続きを進めており、今後は建設振動が問題となりうる様々な工事に積極的に導入を提案します。 防振堤の振動低減効果は地盤条件によって変化することが考えられます。建設工事への導入実績を蓄積しつつ、低減効果と地盤条件の関係についても検討していく予定です。

ニュースリリースに関するお問い合わせ

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    企画本部 広報室
    松尾 和昌 TEL: 03-6455-8312 FAX:03-6455-8460

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    技術研究所第二研究室
    小林 真人、岩根 康之 TEL:04-7198-7553 FAX:04-7198-7586