ARCHITECTURE
DAMPING
制震・免震・耐震

ARCHITECTURE
DAMPING
制震・免震・耐震
耐震補強に幅広く適用可能な接合工法
-低いコンクリート強度に対しても、短い埋め込み深さで高いせん断耐力と剛性を発揮-
概要 本工法は、既存躯体と耐震補強部材を接続する接合工法です。
在来工法(あと施工アンカーを用いる工法)では、工事の際に生じる振動・騒音の問題、さらには鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)建物を対象とする場合に埋め込み深さの規定を満足できない、コンクリート強度が適用可能な規準を満たしていないなどの問題から、耐震補強の円滑な実施が困難になるケースがあります。
本工法は、低いコンクリート強度の既存躯体に対しても、短い埋め込み深さで高いせん断耐力と剛性を発揮するため、上記の問題を解決できます。また、低振動・低騒音での施工が可能なため、建築物を使いながらの耐震補強に適しています。
図1 ディスクシアキーと在来工法の適用範囲の比較
(既往の設計・施工指針では、埋め込み深さはアンカーボルト径(Da)によって規定されているため、Da=20mmとしています)
ディスクシアキーは既存架構の構面内に、鉄骨枠付きの耐震補強架構を配置する構法に適用(図2)するものです。耐震補強架構(鉄骨ブレースを用いたものなど)、制震補強架構(油圧ダンパーを用いたものなど)、さらに補強璧に、本工法を適用することが可能です。
図2 ディスクシアキーの適用例(鉄骨枠付き補強架構)
ディスクシアキー(図3)は、埋め込み型のディスクと拡張機能を有するアンカーボルトを併用した複合型の接合部材です。
図3 ディスクシアキーの構成
図4は在来工法とディスクシアキーの支圧抵抗の違いを示したものです。
ディスクシアキーでは、ディスクを既存コンクリートに埋め込み、そこで大きなせん断抵抗を受けます。これによりディスクシアキーは在来工法と比較して高いせん断耐力とせん断剛性を発揮できます。ディスクシアキーが高いせん断耐力とせん断剛性を持っていることから、既存躯体の目荒らしが不要になります。
図4 在来工法とディスクシアキーの支圧抵抗の違い
図に在来工法とディスクシアキーの設置状況の違いを示します。
ディスクシアキーは1個当たりのせん断耐力が高いため、在来工法と比べるとその設置個数を1/6程度まで減らすことができます。これにより、スタッドや割裂防止筋などの他の関連部材との収まりが良く、さらに振動・騒音の発生回数も少なくなり、効率性の高い施工を実現できます。
図5 在来工法とディスクシアキーの施工状況の比較
写真1は施工過程の中の、穿孔・溝堀作業と、ディスクの設置作業を示したものです。
穿孔作業に湿式コアドリル(写真1左側)を使用することで、ハンマードリルを用いる在来工法に比べて最大で30dBの騒音低減が可能です。また穿孔作業以外にも、接着剤にはカプセル型に代わり注入方式を採用し、アンカーボルトの端部拡張には低騒音の専用施工機械(アンカー打込機;サンコーテクノ製)を使用する事で、打撃音・騒音がなく、かつ安全確実な施工(写真1右側)を行うことができます。
写真1 ディスクシアキーの施工方法
本工法の設計方法と施工方法を詳しく解説した設計施工指針を作成して、(社)建築研究振興協会より技術性能評価を取得しています。
ディスクシアキーを用いた補強接合工法は、飛島建設株式会社、株式会社大本組、サンコーテクノ株式会社の3社共同開発です。また、ディスクシアキーは3社共同で特許出願中です。