CIVIL ENGINEERING
SHIELD PROPULSION
シールド・推進技術

CIVIL ENGINEERING
SHIELD PROPULSION
シールド・推進技術
―湿式吹付け工法によるシールドトンネル覆工構築技術-
本技術は、鋼製セグメント内を充填する高性能な無機系モルタルと、覆工表面を形成する耐久性を有する高品質モルタルを層別に湿式吹付け施工し、最後は左官仕上げを行うことで、シールドトンネルの覆工に要求される耐久性(防食性)、平滑性を満足する構造を構築します。
近年、シールドトンネルでは、二次覆工一体型のコンクリートセグメント(従来の二次覆工を省略したトンネル構造)の適用が標準となってきています。これに対し、マシーンの急曲線の施工性能向上に伴い小さい曲率での急曲線箇所や、さらに幹線の機能向上のための分岐部が増加しています。このような箇所では鋼製セグメントが適用されていますが、従来通り覆工を施工しなければならず、コンクリートセグメントの仕上がり内径の制約によって、その覆工厚の薄肉化が進んでおり、通常のコンクリート打設では所定の品質を満足できない状況が生じています。
このような箇所での覆工構築法として、当社保有のTDRショット工法(Tough and Durable Repair Shot:劣化コンクリートの断面修復工法)を発展させた技術で、「TDRショットライニングシステム」を開発しました。
施工実績として、2008年の「目黒川右岸低地部排水施設整備工事」を皮切りに、2021年までに40現場、25,000m²が施工されています。本工法の普及を目指す、TDRショット工法研究会(会員18社)の協力を得ながら、あらゆるニーズに対応しております。さらに建設技術審査証明書(審査証明第1816号)、NETIS活用評価(KT 150074 VE)を取得し、活用に向けての信頼性が認められています。
「TDRショットライニングシステム」は、図-1に示すような断面構成からなります。まず、鋼製セグメント内は、プライマーを塗布し、硬化促進剤を用いた高性能な無機系モルタルを吹付け、充填します。続いて、吸湿防止剤を塗布し、目的別に対応した高品質モルタルを吹付け、左官仕上げを行います。最後に表層に養生剤を塗布します。モルタルの練混ぜ、圧送は連続練りミキサを用いることで、従来の湿式モルタル吹付けの3倍以上の吐出量が確保でき、作業性が向上しました。また、吐出量を大きくしても、鋼製セグメントのリブ裏が完全に充填できるよう、吹付けノズルの開発を行うとともに、圧搾空気の量を調整し、ノズルワーク(作業手順)を確立しています。(参照:図-2)
表層の仕上げ材は、目的別に、下水道関連施設では、「下水道事業団、下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル(平成24年4月)」、「東京都下水道施設管理部コンクリート改修技術マニュアル処理施設編(平成20年4月)」の基準を満足する耐硫酸を有する「サンタイト/デンカ社製」を適用します。共同溝、電力洞道では、従来、断面修復工事で用いてきた「TDRモルタル+硬化促進剤(TDRショット工法)」を適用します。さらに、雨水幹線等などの水路トンネルでは、耐摩耗性能を有する「スプリードエースアクア/デンカ社製」を適用します。
・あらゆる急曲線に対応できる。
・特殊な形状や構造にも容易に対応できる。
・トンネルの用途に応じた材料が選定できる。
・鋼製セグメントの隅々まで充填でき、高い密実性が得られる。
・施工速度が速い。
・メンテナンスが容易である。
・経済性、工期短縮に優れている。
工事件名 | 市川市市川南7号幹線建設工事 |
---|---|
発注者 | 日本下水道事業団 |
施工期間 | 2013年12月12日~2017年6月15日 |
施工会社 | 飛島・大城特定建設共同企業体 |
仕上げ内径 | φ4,000mm |
トンネル延長 | 754.673m |
TDRショットライニングシステム施工延長 / 面積 | 61.4m / 794.4m² |
プライマーの塗布
耐硫酸モルタルの吹付け
完成
工事件名 | 古川地下調節池工事(その2−2) |
---|---|
発注者 | 東京都建設局第一建設事務所 |
施工期間 | 2014.01~2014.11 |
施工会社 | 飛島建設株式会社 |
仕上げ内径 | φ7,500mm |
TDRショットライニングシステム施工延長 / 面積 | 26.7m / 1344m² |
本坑:仕上がり径φ7800
分岐部1500
工事件名 | 杉並区善福寺二丁目、上荻四丁目付近善福寺川流域合流改善貯留施設設置その2工事 |
---|---|
発注者 | 東京都下水道局第二基幹施設再構築事務所 |
施工期間 | 2016年9月20日~2017年7月31日 |
施工会社 | 飛島建設株式会社 |
仕上げ内径 | φ2,400mm |
トンネル延長 | 1,784m |
TDRショットライニングシステム施工延長 / 面積 | 214.8m / 1270.78m² |
資材運搬状況
耐硫酸モルタルの吹付け
完成
工事件名 | 石巻市北北上運河右岸第二幹線管渠復興工事 |
---|---|
発注者 | 下水道事業団 |
施工期間 | 2017年12月21日~2021年3月31日 |
施工会社 | 飛島・日本製紙石巻テクノ特定建設共同企業体 |
仕上げ内径 | φ2,200mm |
トンネル延長 | 1,813m |
TDRショットライニングシステム施工延長 / 面積 | 138.7m / 970m² |
施工前の鋼製セグメント全景
耐硫酸モルタルの吹付け
完成