ENVIRONMENT
OSCILLATION
振動の技術

ENVIRONMENT
OSCILLATION
振動の技術
建設振動対策では、発生する振動が小さい機械や工法を採用したり、防振マットなどを敷設して地盤への入力を低減したりする発生源対策が主として用いられます。これらの発生源対策の効果が十分でない場合、伝播経路対策の適用が検討されます。伝播経路対策には空溝や防振壁などがありますが、いずれも大規模で、費用対効果、安全面や施工性に課題があり、採用に至らない場合が多くあります。
このような課題を解決するため、飛島建設は埼玉大学大学院理工学研究科の松本泰尚教授との共同研究により防振堤を開発しました。防振堤は接地面を拘束することで表面波の反射と散乱を生じさせて振動を低減します。伝播経路に置くだけで振動を低減できるので、安全、安価で効果的な伝播経路対策として建設工事に広く適用が可能です。
図 防振堤を用いた振動対策の概念図
写真 防振堤設置状況
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写真 実験状況
図 防振堤による低減効果の実測例
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同じ伝播経路対策として有名な空溝は、伝播経路上に設けた溝により振動を遮断することで振動を低減します。このため、溝の崩落や墜落災害の危険があり、地下水や雨水の対策も必要となりますが、防振堤は安全面でも問題がなく、維持管理にも手間がかかりません。
また、空溝の効果は深さに依存しますが、前述の課題から一般的な深さは2m程度といわれています。一方で、防振堤は地表面に設置するので面積の確保が比較的容易であり、低減効果においても優位といえます。