スマートセントル ®
技術概要
覆工コンクリートは、供用中に剥離・剥落が発生すると第三者災害を引き起こす原因となります。そのため、施工中は打設時の締固めや充填、打設後の養生などを行うことで、剥離・剥落の原因となる空隙やひび割れなどを排除し、品質を確保することが重要となります。しかしながら、昨今の建設作業員の高齢化により熟練の覆工作業員が減っていること、また、セントル内は狭隘で作業性が悪いことなどから、覆工コンクリートの品質を安定して確保することが課題となっています。
スマートセントルは、締固めや充填、打設後から脱型までの養生作業をICTによりサポートし、覆工作業員の熟練度によらず、安定した品質の覆工コンクリート構築を目的に開発されました。
スマートセントル®の構成図
スパイダー打設システムⅡ
型枠バイブレータ集中制御システムⅡ(左)と型枠バイブレータ装備状況(右)
スターライトセンサシステムⅡ
セントル加温制御システム概要
パルストメーター概要
技術の特徴
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- スムーズな配管切替と左右同時水平打設が可能な自動配管切替装置です。
- 配管切替作業の省力化を実現します。また、配管切替作業時間の短縮と左右同時水平打設によりコールドジョイントの発生を防止し、コンクリートの品質を確保します。
- 従来型は、配管切替部をリモコンにより手動で前後に動かしていました。今回スマートセントルに搭載した改良型は、リニアエンコーダを利用してデジタルで位置決めができるようになりました。これにより、配管切替部はタッチパネル操作で所定の位置に自動で移動します。
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- 複数(60台程度)の型枠バイブレータの稼働を中央制御盤で一元管理します。
- 型枠バイブレータを集中管理することで、打込み箇所のコンクリートを効率的に締め固めることができます。
- スターライトセンサシステムから出力される打設高さ情報に基づき、型枠バイブレータの締固め動作を自動制御することで、締固め作業の自動化・無人化を実現しました。
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- セントル型枠表面の照度センサとLED照明を使い、コンクリートの打設高さを視覚化します。
- 打設高さをリアルタイムに視覚化し、コンクリートの打ち重ね時間を管理することで、コールドジョイントの発生を防止し、コンクリートの品質を確保します。
- LED照明は熱に弱く、従来型に搭載していたLED照明は定期的に交換する必要がありました。今回搭載する改良型は、ペルチェ素子による冷却機構の追加により、温度上昇を従来型より20℃程度抑制することで、大幅に耐久性が向上しました。今後、適用工事のなかで耐久性について定量的に検証します。
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- 電熱線と温度計を用いた加温制御機能により、コンクリート温度をブロック毎に制御して脱枠まで養生します。
- コンクリート打設開始から、温度が低下して剥離が発生しやすい側壁部の下側を20℃以上に加温することで、セントル型枠による養生温度を均一化して脱枠時のコンクリートの剥離を防止し、品質を確保します。
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- 超音波方式によりコンクリートの硬化状態そのものから圧縮強度を推定します。
- 超音波がコンクリートを伝搬する時の最大振幅と圧縮強度の関係式を事前に求めることで、打設後から脱枠までのどの時点でも圧縮強度を測定できます。コンクリートの若材齢時間に関係なく脱枠に必要な圧縮強度到達をリアルタイムに確認できるので、脱枠時の強度不足によるひび割れの発生を防止し、品質を確保します。
従来工法との比較、長所
- 覆工作業員の省力化・省人化に寄与し、生産性が向上します。
- コンクリートの圧送ポンプのデータ、打設高さの履歴、型枠バイブレータの稼働履歴、充填時の圧力センサの履歴、脱枠までの養生温度と圧縮強度の履歴などが自動的に記録・保管されるため、職員の施工管理の生産性も向上します。
主な適用範囲
山岳トンネル工事の覆工コンクリートセントル
主な実績など
北海道新幹線、ニセコトンネル他(2021年3月~、発注者:独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)