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飛島の技術-共通のメインビジュアル

簡易型地震計測システム

 建物の構造ヘルスモニタリング(以下、SHM)は、地震被災時の被害状況をすぐに評価するための貴重な情報源として注目を集めています。
しかし、SHMシステム構築のためには、多額の費用や機器類設置のための床スペースの確保が求められ、建物オーナーにとって高いハードルとなっていました。
飛島建設では、こうした費用面や設置手間の問題を解決し、広くSHMシステムを普及させるため、簡易型地震計測システムを構築しました。
センサーとしての地震計と制御のためのPCを一体化させることでハード機器を簡略化し、建物屋上および1階に地震計を付ける「最小観測ユニット」とすることで、省スペースでシステムを構築できます。

簡易型地震計測システム概要図

図1 簡易型地震計測システム概要図

建物オーナーへの情報提供サービスの流れ

図2 建物オーナーへの情報提供サービスの流れ

技術の特徴

  1. 1

    ハード機器の簡略化により従来コスト1/10

    • 地震計はカードサイズのLinuxコンピュータRaspberry PiにMEMS加速度センサーを組み合わせた強震計としています。これにより従来の1/10程度のコストで地震計測システムを導入することが可能となりました。
  2. 2

    最小観測ユニットによる省スペースでシステム構築

    • 簡易型地震計は建物最上階と1階に設置し、建物全体の振動特性をモニターします。地震計自体が小型PCであるため、自ら計測・記録・制御・分析を1つのハード機器に集約しており、またサイズも小さいため設置のためのスペースを最小限に抑える事が可能です。
  3. 3

    専用サイトによりどこからでも状況把握が可能

    • 地震発生後、計測結果や被災度判定結果を地震速報レポートにまとめ、お客様専用会員サイトCustomer Support Siteにて情報公開を行っています。インターネット上で閲覧できるので、離れた場所にある建物の状況把握にも利用できます。

従来工法との比較、長所

 従来の地震計測システムは地震計の他、データを記録するための記録器やシステム制御のためのPCなど様々な機器が必要でした。本システムではこれらの機器を一つに集約することで、低価格でかつ省スペースでの計測システムを実現しています。

従来の計測システムとの比較

図3 従来の計測システムとの比較

また都内の鉄骨造の事務所ビルにて、従来の高精度地震計と簡易型地震計を併設し、精度検証を行っています(写真1)。実地震動の計測結果から十分な精度で強震観測が出来ていることを確認しました(図4)。

写真1 簡易型地震計の精度検証の様子

写真1 簡易型地震計の精度検証の様子

精度検証のための計測結果(発生時刻:2021年3月20日 18:09頃)

図4 精度検証のための計測結果(発生時刻:2021年3月20日 18:09頃)

主な適用範囲

  • 建物構造:RC造、SRC造、S造
  • 建物規模:最大10階建程度(建物形状に合わせて、ご相談となります。)
  • その他:新築建物だけでなく既存建物への設置も可能。
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